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Novel
真白の愛 3




どうして、どうして…


何も、わからない…








「どうしてあんな事になっちゃったんすかね…」


「一体何があったんだ…?」



今朝の出来事を目の当たりにした二人は、どうしても腑に落ちない様子だった。

授業中も休み時間も、特に以前と変わった様子はない。

今朝の一連の出来事を振り返ってみても、やはり答えは一つになってしまう。


「やっぱり…ロミ夫さんの事だけ…」



よりにもよって、彼にとって一番大切で愛する者の存在が、彼の中から残らず消えてしまった。


「何でだよ…あんなに、あんなにロミ夫さんの事大切にしてたのに…」


「リュータ…落ち着け」


「だってよ!授業中にもノロけんだぜあの人!!
昨日はどこいっただの可愛いだの!!
…そんな事言われたら応援したくなるだろ!!」



感情的になるも、どうしても納得できない。

何故、彼の中から最愛の恋人の存在だけ消えてしまったのか…



「でも昨日の会議の時までは普通だったぞ…」


「会議?」


「終わったら会う約束してるって言ってたし…
時間気にして時計ばっかり見てたぞ」


昨日の会議の時の様子を思い出す。

確かに、携帯を握りしめて時間を気にしていた。


「でも、ロミ夫さんの様子じゃ昨日は会えなかったみたいっすよ」


「…じゃあ、会議が終わってから先生に何かあったんじゃ…」


二人は顔を見合わせ、同時に顔をしかめる。

昨夜彼の身に何らかの事が起き、恋人の存在だけが消えた…


そうとしか思えなかった。


「まさか交通事故で記憶が…」

「いやでも外傷はなかったっすよ。」


「じゃあ何か非科学的な物が…」


「まさか…」


「でも、そうじゃないとは言い切れないだろ?」


今まで幾度と無く不思議な出来事を体験してきた二人にとって、非科学的なものを否定する気は皆無だった。




「…あの人に相談するしかない…」












「そうですね…特に何もないとは言えないでしょう。」


「ジズさん、何か分からないっすか…?」


「一言でこれとは言い切れませんが、少なくとも何か邪悪なモノが絡んでいる可能性はあるでしょう」


二人は以前知り合った、人形技師のジズと魔術に詳しいロキに今回の事を全て話した。


非科学的な出来事やあやかしの類などに詳しいらしく、学校周辺に出没していた邪悪な霊を祓ってもらったこともある。



「お主にしては随分と大雑把な見解ではないか」


「ロキさん?」


「この男に憑く邪悪なモノ、わしにもはっきりと感じたぞ」


「やはりロキ嬢もそうでしたか…
一言で片づけてはいけないと思ったのですが」



「早急に何とかしないとマズいんじゃないですか!?」


「しかし、あの気は悪質な力が強すぎてわしらの力では及ばないかもしれぬのじゃ」


「彼に未だ憑いているという、邪悪な気が体中を覆い尽くし、いずれは全てを飲み込んでしまうでしょう」



藁にもすがる思いでたどり着いた口から発せられる言葉に、二人は言葉を失った。



「そんな…そしたらロミ夫さんは…」


「何とかならないんすか!!
あんな悲しそうなロミ夫さん、見てられないんですよ!!!」


二人の必死の訴えに、しばらく考え込んでいたジズの口が開いた。



「…その、ロミ夫という方の事を思い出すことが出来れば、邪悪な力が消えるかもしれません」


「しかしそれは、この男の気持ち次第じゃ。
こやつのロミ夫という男への想いが何より強くなければ、思い出すことは無理であろう」



その言葉に、二人は黙り込むしかなかった。





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あきゅろす。
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