永遠の華
安倍晴明の孫
『だからさっきから言ってるじゃないか』
『いーや知らないね。つか晴明の孫〜』
「孫言うなぁぁあぁっ!」
がこっ、と物音がしたかと思うと一人の少年と白い物の怪が現れた。
少年は怒っているのか物の怪の尻尾を空中で掴んでぶら下げている。
「もっ…くん??」
「あん?」
「俺のことは孫って呼ぶなって言ってるだろ!?」
「そんな気にするような事じゃないと思うぞ?」
「あのねぇ…。物の怪のもっくんはそう言うかもしれないけど、俺は気にしてんの!」
「ほー、気にしてたのか……ってもっくん言うな!!」
今度はもっくんと呼ばれた白い物の怪が怒りに震えた。
「何度でも言うぞ!言うぞったら言うぞ!?俺は物の怪じゃない、同じ事を何度も言わせるな、晴明の孫!」
「俺だって何度でも何度でも言ってやる!孫、孫言うな、物の怪のもっくん!!」
「こ…、いい加減に…………っ!?昌浩!!」
「何だよ急に…」
「前」
「…前?
…………うっそぉ!?」
目の前に現れたのは自分よりでかい骸骨がひとつ。
地に響き渡るほどの轟きがそれから放たれる。
『グガォアァァァ…!』
今更だが、晴明から任された妖異退治に出掛けた昌浩と物の怪のもっくん。(もっくん言うな)
幾等何でも真正面から行くのは何だろうからと、手軽な箱に隠れたは良かったが、二人の間違った矛先により直ぐにバレてしまった。
…ピンチです。
「もっくん、何とかしろよ!!」
「無茶言うな、昌浩!…ほら、さっさと手を動かせ!」
「〜〜〜っ!もう、後で絞めてやるからな!」
「ほれ、さっさとやれ!」
もっくんの責任ない一言に昌浩は複雑な表情を浮かべたが、今はそれどころではない。
一つ深呼吸をして真言をつむぐ。
『─…臨める兵闘う者皆陣破れて前に在り!』
九字と十字を斬り、増大された霊力を懐から出した札に込め、敵に叩き衝ける。
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