永遠の華
男の助太刀
『──霊力ノ高シ女…!貴様ヲ喰ロウテヤル……!!』
「あ、危ないっ!」
昌浩はとっさに辿り着けないと察して叫んだ。それを聞いた紅蓮が炎蛇を放つが、距離が遠すぎて届かない。
その間にも女へと迫る妖異の攻撃に、さしもの紅蓮も目をそらしかけた、…その時だった。
きらりと闇に煌めく刃が女の前に現れて妖異を払い除けると、危険を察した妖異は後ろへと退いた。
「何が…」
昌浩は目を凝らしてよく視る。
そこに現れたのは、紅蓮と同じくらいの背丈で双槍を持った男だった。男は双槍を前に突きだして言葉を放つ。
《─…貴様、こいつに手を出せばこの世から跡形なくも消し去ってくれる!》
その言葉に妖異は危険を感じたようで退いていった。それを見届けた男は双槍を下に降ろして振り返る。
《危ないな。…こんな夜更けに一人で出歩くなんぞ、お前らしくもない》
「…………?」
《何だその疑問に満ちた目は!……まさか、事もあろうに忘れたとか言うんじゃねぇだろうな!?》
こくりと頷かれて男は呆れた顔をする。
《本当に忘れるとは…。…まぁ、無理もねぇか。元々アイツがそう仕向けたんだしな…》
そして、その男は誰もいない空間へ声をかけた。
《──おい、覇鳥。そこにいるんだろう?出てこい》
誰もいない空間に呼び掛け、それに応えて現れたのは、年若い二十歳くらいの女性だった。
黒髪は顔の横で髪飾りを使って綺麗に留められ、天女の羽衣を纏った、いかにも女性そのものだった。
昌浩はそれを認めると、ある似た人物を思い出した。
「…天一…?」
《…いや、格好は似ているが…あいつは妖だぞ》
「え、えぇ…っ!?」
妖だという事実に、昌浩はびっくりして声を上げてしまった。
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