永遠の華 貴船の祭神 「あ、妖…って」 恐る恐る現れた──名を覇鳥という女性を見つめると、彼女はにっこりと笑う。 《─初めまして。私は覇鳥と言うの。宜しく》 「あ、はい…此方こそ…」 慎ましく挨拶を交していると、男が不機嫌な顔をして一言言った。 《気持ち悪いから止めろ、覇鳥》 するとにっこりと笑っていた顔は一変で豹変する。 今度の笑いはにっこりと笑ってはいるが、目が笑っていない。 《煩いわね。折角初めて会ったんだし挨拶ぐらいいいじゃないの。……それに私の性格が今更変わるはずもないじゃない》 《…………》 どうやら地位的には男の方が下のようだ。それを横目で見ていた紅蓮が口を開く。 《─…結局貴様らは何者だ?》 それを聞いた男が目を細める。 《─…随分と生意気な口を利くじゃないか、神の末席に座を連ねる十二神将が一人、火将騰蛇…》 《……っ!?な、ぜ…それを…!》 《当たり前だ、火将騰蛇。俺は神なんだからな》 《神…?貴様がか?》 《─…信じれない、って顔してるな。…仕方ない証明してやろう》 《証明って……あんた、まさか…》 《─…そのまさかだ。なぁ、高淤の神?》 男がそう言って空を仰ぐと、貴船から白い霧状の靄がこちらへと向かってくる。 【我を呼んだのは…お前か、雷風…?】 《ああ。わざわざ悪いな》 【別に構わないさ……暇をもてあそんでいたからな】 現れたのはその身に神々しさを纏い女性ともいえる躯を持つ、貴船の祭神『高淤の神』だ。 [*前へ][次へ#] |