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開いたまんまの後ろの扉の辺りに、待ち人が立っていた。


僕は窓際の自分の席から立ち上がって、彼の元へパタパタと駆け寄る。


僕が隣に来るのを待って、ヒロくんは何も言わず下駄箱まで歩きだした。


歩幅の小さい僕に合わせた、ゆっくりとした歩き方。


こういうさりげない優しさが、ヒロくんの良いところだと思う。





「ね、ヒロくん」

「……あ?」

「お母さんがね、ヒロくん元気にしてるか心配してたよ。
今度ヒロくんの好きな煮物持っていこうかって話してた」

「あー……いつもすみません、っつっといて」

「うん」





ヒロくん家はちょっと複雑で、昔からよくお母さんがご飯をおすそ分けしてた。

僕とヒロくんが疎遠になりだしても、お母さんは相変わらずヒロくんの事を気にして、たまにおかずを置いてったりしてたみたい。

たまに空のパックがうちの玄関先に戻ってきてたりしたから。





「……ショウは」

「うん」

「何でここ選んだんだ?」





ちょっとだけ考える。




「んー……、中学の先生に薦められたから?」

「そ、か……」

「ヒロくんもいたしね」



特別何か狙ったわけでもないけど、ヒロくんは僕の発言に軽く目を見張って、それからちょっとだけ笑った。




変なこと言ったかな?














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