[携帯モード] [URL送信]
Stern



まわるまわるまわるまわるくるくるくるくる









いた。

いつも俯いてアスファルトを向いている顔を上げた。
バイトに行く途中にある四階建てのアパートの三階のベランダに彼はいる。
そして今日もまた空を見上げていた。

星。
きらきら、光る星。

僕は名前も知らない彼に恋をした。ただそれだけ。
勿論声をかけるなんて出来るわけもなく、星を見上げる彼をいつも見上げていた。
なんて報われない片思い。
彼は星に、僕は彼に。
でもいつか彼が僕を見て微笑みかけてくれると信じていた。









雨が降った。
彼はいつもの通りにベランダに立っている。

ゆらゆら、ゆらゆら。

何かがおかしい。
そう思うより先に体が動いていた。

かたかたという僕の足が階段を打ちつける音がひどく遠くに感じられる。

かたかたかたかた、かたり。

彼の部屋の前に来た。
いつも見上げるばかりだった彼と同じ目線に立った。

こん、こん、
ノックを二回。返事はない。

かちゃり。
ドアノブを回すとあっさりと僕と彼を隔てていた扉は開いた。


くるくる、ゆらゆら、
回り揺れる彼を見て全てを悟った。

ぎいぎいと彼の首とあまりにも低すぎる空を結びつけた紐が悲鳴をあげる。


僕は二度と微笑むことのない唇に口付けた。






星に恋した彼はあの中の一つになれたのだろうか、と考えながら僕は空を見上げた。








星を見る少女ぱろ。
なんかCP色薄めですね。
最早つなとはわかるまいふふふ。



10/5






第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!