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椿




僕は彼は馬鹿なんだと思った。
毎日まいにち懲りずに屋敷から逃げ出して奴に逢いに行こうとする。
どうせ僕に捕まって酷いことされるのが分かりきっているのに、まいにち毎日。




「、やあっ!あ、やっ、ああっ」

「嫌?当たり前じゃない。お仕置きなんだから。ああ、でも君には意味ないか。ここ、こんなにぐちゅぐちゅにして、」

ねえ?と問いかけると彼はごめんなさいごめんなさい骸ごめんなさいと奴に謝罪を始めた。

気に食わない。此処に居るのは僕なのに。苛々する。

ぱあんと頬を叩くと彼は目をまん丸くして漸く僕を見た。
嬉しい。嬉しいから何度も叩く。

丸い小さな窓が一つしかない僕の部屋一杯に僕の手のひらと彼の柔らかい頬が作る音が広がる。ふっ、はははははは。

「きょ、やさ、ごめん、なさ…っ、ここからだして」

「嫌。君は僕のものだもの。心も身体も。」



僕なら彼が望むもの総てを与えてあげられるのに、何故。




今日も彼は屋敷を逃げ出した。
捕まると分かっているのに。彼は望みも希望も棄てなかった。

馬鹿な子。奴はもうそこには居ないのに。
かたん、と箪笥の上に在った箱を開けると中には白くて小さい骨が少し。
こんなに近くに居るのに、ねえ。本当に馬鹿な子。




侍女が彼を捕まえてきて、其れから僕は彼を抱いて、そしてまた彼は逃げて、でもそれも今日で最後。


「やっ、んっ、あっ…はぁ、ん…っ」


喘ぐ彼の首に指を回して絞める。
ぐぎぎ、ぎゅうう、ひゅーひゅー、

暫くして彼が死んだことを僕は悟った。
死んだ。彼が死んだ。つなよしが、しんだ。僕のつなよしが死んだ。


手を離すと白く湿った肌にくっきりと僕の『所有印』
彼岸花より赤く、今まで見た此の世のどんなものよりも奇麗に見えたそれに舌を這わせて、それから僕は冷たくなり始めた彼から身体を離した。








落花









書きかけで放置してあったものを加筆修正しつつ仕上げました。ひさびさに病んでる系の書いた気がする…。
若干雛逃げぱろです。
百合にしようか悩んだけどやっぱり薔薇で!




9/30









あきゅろす。
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