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お互い忘れてしまえばいい/死ねた
・ただの赤くもない死ねた
・ギン視点
・ただぶつぶつ言ってる



遥か遠い所であの子が死んだのだと聞いた。今更きっと、そんな資格自分には無かったのだろうけれども、少しだけ泣いた。

思えば自分には勿体無い子だった。良く気がついて、控え目で容姿は少しの不健康さは否めなかったけれども、端麗。何よりも忠誠心が強かった。こんな、人に好かれる要素の見当たらない、性格的には大層問題があるであろう自分を慕い、尸魂界へ叛旗を翻す手伝いまでしてくれる。尸魂界へいた頃は毎日、あの子からの愛情というものを感じていた。
けれど両親もおらず、生きるか死ぬかの幼少期を送っていた自分には愛情、親愛などとは縁遠く、自分に向けられるそれらの感情は重く煩わしい物で。あの子の感情に答えることはこうしてあの子を置いて虚圏に来るまで終に無かった。
そして、今、もう二度と会うことは無いのだと耳にして、少しの後悔を覚える。
尸魂界は魂の終着点。その先は無い。

(言うとけば良かったんやろうか?)

あのいつも何か困った様な、憂えた様な顔を笑顔に変えてやるための一言を。しかし、愛情を知らない頭は気の利いた言葉を成せない。そして、あの今はいない副官へ抱いていた思いも、離れてしまった今ではよくわからない。
ただ何かが引っ掛かる。

(ボクは何考えとるんや。何を言えばええんかもわからんし、相手もおらん。イヅルをどう思うとったかもようわかっとらん癖に)

ついに掛けたかった言葉は見つからず、これ以上は無駄な事だと判断して思考を無理矢理に中断する。
きっとしばらくすればいなくなった者など忘れてしまうのだろうと思う。そして、あの子が最期の時に自分の事を考えていなかったら良いと願った。

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