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■無知な子供 後編







「あ、っん、…や…ッ…ぁッ」
「良いですヨ別に止めても」

そう言いながらも彼の内壁へと挿入させた指は動かし続ける。熱くて湿ったソコはまるで飲み込むかのように轟いて。指先からの快楽に囚われないように、ギルバートが逐一反応を示すその部分を強く押せばベッドに縫い付けられた肢体は益々乱れた。

「ぅアッ…は、ぁッ…っ、ん…」
「止めてもいいですが、キミのココは私の指を締め付けて離してはくれないみたいだけどねェ?」
「そ…んなッ…動、かさな…ッ…ひッ」

しなやかに色気の放つ肢体は細くて柔らかく、大人になりきれていない証だろう。声変りも中途半端な彼の声は女性と同じぐらいに高く響き、途切れ途切れに吐き出される吐息に色気を感じる。金の両目からは溢れるように流れる涙が。生理的なものか精神的なものか、その両方かは解らないが、彼の泣き顔に満たされ自然と緩む口元。
三本の指を自由気ままに動かしながらも、片手で彼の陰茎を扱き弄り、同時に強烈な快楽を繋がらせる。二つの刺激に耐えきれないとばかりに頭を弱弱しく左右に振り震える両手でシーツを掴む彼の姿は可哀想なぐらいに艶めかしい。
ギルバートの姿に末恐ろしく感じながらも、行為を辞めない自分。それどころか益々酷く苦痛にも似た悦楽に歪む彼の表情が見たくなり、意識的に動かす手を早めた。

「っ、ぁ、アッ、やッ、あッ、やだッ、ブレイクさんッ!」
「なんですカー?こうしないと何時まで経っても憧れのご主人さまには近づけませんヨー?」

我ながら解りやすい嘘を並べているなと思うのだけど、ベッドの上で悶え乱れる彼の表情はその言葉に反応を示し瞳を見開いて更なる涙を零す。自分を信じ切っている彼が愚かで可愛い。嫌われているものだと思えばどこか信頼を向けてくれるこの子供に、同じように信用を与えてやりたいと思う自分とその信頼を真っ黒く塗りつぶしてやりたい衝動に駆られる自分。相反する矛盾がこの行為をより熱中させ執着させていく。

「やッ、あー、アぁッ、ダメ、ダメですッ…あ、でるッ、ふ、あぁッ…!」

大袈裟な程に身体を痙攣させて達するギルバート。息も荒く視線も合わない。まだ慣れない強烈すぎる快楽に意識があるのすらも怪しい。
余韻に浸っている彼の腰に手を当てうつ伏せにひっくり返す。僅かに上がった生白い尻を目の前に、自分の固くなった自身を取り出し押し当てた。

「っ…な、に…?」
「最後の仕上げみたいなものですヨ…そうですネェ…治すといったら注射が一番でしょう?」

ククク、と笑みを噛み殺しつつ彼の腰を掴み散々己の指で解かした後膣に自身を押し当てる。逃げるよう前へと動く腰を引き寄せてそのまま一気に挿入させた。

「ひっ、あぁアーっ…!!」
「っ、さすがにキツイですネェ」

引き千切られるように締め付けられ、思わず顔を顰める。自分がこれほどの衝撃ならば彼はもっと酷いだろう。貫いたままの状態で暫く耐えつつ、悲痛な叫びをあげた彼に視線を向ける。

「大丈夫ですカ?」
「っ、ァ、ひッ…あ、っ…」

シーツを固く握りしめる震える手が痛ましい。僅かな声も言葉にならないぐらいに、全身から拒絶反応を示している彼の中心部分を掴み上下に扱く。それさえも後ろへの刺激になるのか、本気の泣き声が聞こえてきてその手を止める。
正直、この状態はいくら自分でも辛いものがある。内心溜息を吐きつつも、すっかり子供に戻ってしまった彼の背中を出来るだけ優しく撫でつつその泣き声が止むのを辛抱強く待った。

「っ…ブ、レイクさん…」
「大丈夫ですカ?」
「…ぅ、っ…」

自分の言葉に彼の後頭部が小さく左右に揺れて思わず苦笑を洩らす。こんな時まで律儀な彼の背中を撫で続けながらも、それは決して慰めるものではなく快楽に導く為のものだ。小さく反応を示す部分をしっかり記憶している自分も相当だと呆れた。
何度か繰り返すうちに芽生えていた苛虐心が薄れ、これ以上はさすがに無理だろうと結論づけた時、再度聞こえてきた小さな声に耳を傾ける。

「…ぶれいく、さん……」
「どうしました?」
「…オ、レ……治り、ました?」

思わず擦っていた手が止まる。あれだけ痛い思いをしたというのにも関わらずまだ信じていたのかと目眩すら覚える。一般的に考えて変だと思わない彼のその頭の中を見てみたい。
ギルバートの言葉に色々な感情が芽生えて消える。彼が自分の言葉を信じ続けるというのなら、自分もそれを最後まで突き通すべきだろうと、最終的にはそこに落ち着いて。けれど本心は自分がしたいからするだけだろう。
彼の性器にもう一度手を伸ばすとゆっくりと扱き始めた。

「ぅ…っ…っ…」
「声を我慢すると余計に酷くなりますヨ?感じたままに素直に声を出せば治りも早い」
「…ハイ、っ…ふ、あ…」

自分の言葉に素直に従順に従う彼に萎えかけていた自分の中心すら熱く感じ始めてくる。顔が見たい、と瞬間的に思った。だが、まずはと、片手で彼自身を扱きつつ片手で腰を掴みゆっくり動かし始めた。

「ひ、あっ…痛っ…い、…っあ」
「すぐに気持ち良くなりますヨ」
「きもち…?っ、いた…んッ…いっ…っ…治るって…事っ…ですか…?」

そうそう、と適当に相槌を。彼の内壁が熱くてキツク締め付けられて、少し動かしただけなのに凄まじい程の気持ち良さ。激しく燃え滾る様な情欲は若かりし頃のモノだけだと思っていたがそうでは無いらしい。寧ろこれ程までのものは初めてでは無いかと、少し自分を抑えるのに苦労した。
前を扱きながらの行為は少しずつナカを柔らかく弛ませてきて、単調な動きが自然と早いものへと変わる。

「ふ、あッ…ブ、レっ…さんッ…」
「何ですカー?」
「ナカっ…んッ…変っ…ふ、あぁッ」

ある一点を突けば面白いほどに身体を震わすギルバートに眩暈さえ覚える。嬌声を上げあちこち跳ねた黒髪が左右に振れるとそれだけでもう抑えきれなくなる。
理性と本能のままに両手で彼の腰を掴みソコに向かって思いっきり突き上げた。

「ひっあぁッ…っや、だッ…そこッ…メ、ですッ…」
「何がダメなんだい?」
「んッ、はぁ…や、あァッ…ダメッ…ぁあッ…へんッ…です…ッ」
「それが気持ちイイということですヨ」
「っ、ひアぁッ、あ、っ…イ?…あァッ…ッ…イイ、です、ッ」

腰だけあげた状態でシーツに顔を突っ伏して、くぐもった声が消えていく。彼の片足を持ち上げるとくるりと回して繋がったままの状態でひっくり返す。

「ひッああぁッ!」
「っさすがに、キツイですネ」

衝撃に耐えつつもようやく見れたその顔と向き合い思わず息を飲む。
頬に何度か伝った涙の痕とそれすらを隠すように次々溢れる涙。金色の瞳は赤く潤み紅潮した顔が情欲を誘う。泣き顔のようで誘っているような表情が艶やかで。
両足を大きく開脚させてしっとりと湿った肌を撫でればそれだけで零れる高い声。結合部が見えるように開いたままの両足を持ち上げれば、羞恥からかまた涙が一滴零れ落ちて見たくないとばかりにきつく瞼が閉じてしまう。綺麗な神秘的な金色の瞳が見れなくなってしまった事を少し残念に感じ、持ち上げたままの足を肩にかけて腰を掴みナカを深く抉れば再度大きく見開いた瞳と視線がぶつかり満足げに笑みを浮かべた。

「目は開けないと治りが遅いんだヨ?」
「ぁ…は、ァ…そ、ですか…っ」
「それと此処は縛らないといけないネェ」
「えっ?」

自分の首に巻いたスカーフを彼自身へと括りつけて、達せないようにきつく縛る。驚愕の表情を浮かべ不安そうな視線を向けられ、安心させるように彼の頭を数回撫でた。

「こうしないと出てしまうだろう?」
「痛っ…ハ、イ…」

我ながら同じ男として彼に酷い事を強制していると感じつつも不安な表情がまた更に情欲を煽る。小さく零れた吐息が合図で律動を再開させた。







「ぁ、あッ、ぅあッ、ぶれい、んっ、ひッ、やッ、ぶれッ…」
「……」
「や、ぁあッ、ダ、ダメッ、おか…しくッ、ひゃぁ、ッ、なるッ…」
「……」

黙々と自分の欲求のままに激しく彼のナカを掻き回す。腰を掴み激しく律動を繰り返し、結合部からはぐちゅぐちゅと卑猥な音と共に先走りと彼の体液が混じって白い肌を汚していく。
理性も飛び、今にでも意識さえ飛びそうな彼の身体はシーツの上で艶やかに跳ねて更に自分の本能を刺激させた。

「気持ちイイですか?」
「やぁあっ、あ、はッ、イっ…イイっ、あぅッ…ぶれ、く…さんッ」
「…っ」

そんな瞳でそんな表情で全身から溢れる色香で必死で自分の名を呼ぶギルバートに、少しでも気を抜けば理性を失ってしまいそうになり負けてられないとばかりに腰の動きを速める。
想像以上に凄まじい程の色気。素質があったのか、数時間前の彼と今の彼の差が激しく同一人物だとは思えない。
律動に合わせて息も絶え絶えに喘ぐギルバートの表情はもはや今まで夜を過ごしてきたどの女性よりも淫らで、そして同時に美しく思う。
スカーフで縛られた彼自身は可哀想なぐらいにビクビク震え、先端から滲み出る精液が更に情欲を誘った。

「あぁッ、アッ…メっ、ダメッ、も…っ」
「イきたいですカ?」
「?ふあッ、ア…やァっ、アァッ、も…ひ、あッ、も…だ、したいッ…」

本能だろうか。縛られた己自身に手を伸ばし必死でそれを解こうと、けれども激しい律動による悦楽で力が入らないのかその手は自分のモノに触れるだけで、それすら感じて嬌声をあげる。切なげに歪んだ眉、震える睫毛、噛み締めて紅く染まった唇からは喘ぎすぎて唾液が零れている。

「仕方ないですネ」
「ふ、あッ…アァっ、や…んッ!…ンぅっ」

律動を続けながらも、その小さな唇に己のを重ね合わせる。驚きに目を見開くギルバートに構わず、奥へと逃げる舌を引っ張り出して絡ませる。歯列をなぞり小さな舌を吸い躊躇なくその口内を犯す。
そういえば口付けは性教育に必要は無いかもしれないと、思い直し唇を離した瞬間。

「はッ、んッ、ふあアぁッッ…っ!」

唇を離した瞬間にナカの角度が変わり前立腺を抉った所為か、大きく身体を痙攣させたかと思えば酷く厭らしい声を上げるギルバート。一瞬、何が起こったのか解らず、びくびく震える彼を呆然と見下ろしていると、縛っていた彼の性器が萎えている事に気づき思わず息を飲んだ。

「キミは…後ろだけでイったんですカ」
「は、っ…ぁッ…ハァ…?」
「……まさか、これ程までとはネ」

未だ余韻で震える身体が、視線の定まらない潤んだ金色の瞳があまりにも嬌艶で時間が止まっているような感覚を覚える。
完全に飛んでしまったのだろう。繋がったままの状態で身体を屈め、彼の頬に手を伸ばせば彷徨う視線が自分を捉え、酷く艶やかに笑まれて自分の中心がズクンと重くなった。

「っ…まだ、治ってませんカラ」
「ぁッ、は…んッ、あァッ、ん…」

誰に言うわけでもなくそう言葉を吐いて止まっていた時間を再生させる。先程までは多少戸惑った表情の彼が、今は突けば突くほどに妖艶に声をあげ全身を歓喜に震わす。
後はもう黙ったまま自分の快楽を追いかけた。






「痛い…です…」
「あー…まぁ治ったから良かったんじゃ無いですか?」

自業自得だとは決して口に出さず、腰に手を当て蹲る彼の背中を見つめながらため息を零す。
あれから自分も達して、それでも彼が誘うものだからそれに付き合って、何時しか外は昼と夜の境目の色に染まっていた。
最終的には意識を飛ばしてしまったギルバートの身体を風呂に入れて服を着せて綺麗な元の状態に戻したところで彼が覚醒して。起き上がったと同時に体中の痛みを口にして記憶さえあやふやな状態で涙目で訴えてくる。

「治っ…?あ、本当ですかっ」
「忘れてましたネ」
「す、スミマセン…ぼ…オレ、どうして…あっ」

自分の記憶を思い出すかのように首を傾げて間もなく、一瞬で染まった頬に口の端を上げて彼の顎を掴んだ。上を向かせ羞恥で染まった表情を見ながら満足げに微笑む。
色々な感情を胸に視線を逸らす彼が可愛くて、いじらしくて、同時に憎くも思う。彼を大人へと変えたのは紛れもなく自分だろう。けれどもその彼に見事に囚われてしまった自分自身。ギルバートの所為だと、けれどきっかけを与えたのは自分自身。このどうにも出来ない感情の矛先をどこへ向ければ良いのか、彼に向けたところで無意味な気がして少しだけ苛立った。

「あの…あ、ありがとうございました…治して下さって…」
「…アァ、別に構いませんヨ。けれど、完全に治ったわけではないですがネ」
「えっ…?」

治ったも何も最初から病気に罹ってはいない。少し遅い精通を経験して、性についての知識が皆無だったギルバートを誑かしただけだ。ギルバートに罪は無いが、意趣返しだとばかりに威圧感を与えるような笑顔で微笑めば、羞恥心で染まった顔が一気に血の気を失い青褪める。瞬時に変わった怯えた表情に、やはりこれもこれで良い、と満足げに頷きながら逃げ腰の彼を引き寄せた。

「完治させたいのであれば、何度か繰り返し治療する必要がアリマス」
「…そ、そんな…」
「その時はまた手伝ってあげますヨ」

これでもし、彼が本当の事を知れば一体どうなるのかと考えただけで酷く愉しい。けれど純粋な彼ならばこの先一生、自分の言葉を鵜呑みにしたままでいる可能性の方が高い。それはそれで自分にとっては都合が良いだろう。
自分の事しか考えていないこの結論に、どうせ期限があるのだからと彼の主人が戻るまでだと、小さな罪悪感に蓋をして。
自分の言葉に小さく上下する頭。揺れる瞳が不安や恐怖を表し、けれど同時に縋る様に自分の服を握ってくるギルバートの手を上から包み込む。

「…す、すみません…迷惑かけてしまって」
「構いませんヨ?キミの事は私がしっかり治してあげますカラ」

極力、優しげに見える表情を浮かべてそう言えば、僅かながらに不安や恐怖が薄れ同じように小さく笑みを浮かべるギルバート。
一生、治る事はアリマセンけどネ、と小さく零してその頭を撫でた。














純粋さは破滅へと




あきゅろす。
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