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Novel
難解な問題は、【静海様:サスネジ前提シカ→ネジ】






「任務完了だ」
アイツの声は凛と透き通って、響いた。
微かな血の匂いと、事務的な会話。汚れた身なりのアイツ、偶然居合わせた俺。


もし神、という立場のお偉いさんがいる。
というのならば願いたいものだ。連れてこいよ、と。
嗚呼、どうして。
アイツ、いないんだよ。







[難解な問題は、]










気付いたとき、
「面倒くさい」
その言葉は言い訳と化していた。口癖だったものは、いつのまにか自分の気持ちを抑えるための自家製の安い鎖となっていた。
無自覚だった…いいや、知っていたさ!
いっそ自覚のないフリのまま過ごすことができたなら、それこそ強い友情で結ばれた親友とかで終われた気がしていたのだ。
俺は応援する立場で、…そう、あくまで俺はアイツらが幸せでいられるために一緒に悩んでやって、時々アドバイスなんかしてやったりの脇役だったんだ。
物語の主要人物なんかぢゃあない。


なのに、お前は消えた。
お前を失ったアイツは脆かった。みるみるうちに悲劇。
俺は、つとめて脇役。脇役として、姫を慰めた。
お前がアイツじゃなくて俺を見てくれればいいのに、浅はかな想いは昔に捨てたはずなのに。
俺はアイツみたいにお前を捨てない。
それは、言ってはイケナイ。
捨てたモノ、捨てた感情を拾うな。俺は俺を説得できなかった。





それから姫は俺よりも強い者達をまとめ敵陣に真先に入っていくような立場にあっという間になってしまった。




ただ見つめてただけでは、駄目なんだと知っていた。けれど、それに気づいて何になる。あの真っ直ぐに、未だにアイツを見つめる瞳をこちらに向かせて、どうしたい。分からないのだ。
今だって何度も死にかけるような目にあって、それでも気丈に振る舞っている、アイツのそんな姿をただ見ているだけ。


「…お疲れ様」
申し訳ないな、と思った。
「ん…?あぁ大したことないさ」
俺はなんて酷いヤツだろう、自分を呪いたくなった。
怪我してるじゃないか。大丈夫か?無理すんな。
それすらも言えない。
言っても、それはお前を苦しめるだけだから。お前はアイツのために強くなったんだろ。



「おい、…ネジ!」
「?」
いつのまにか、横を歩きさったアイツを呼び止めた。
怪訝そうに此方を見る、アイツ。「怪我、早く治せよ」
嗚呼、いっそ俺の心が治ればいいのに!!
俺はヒナタからもらっておいた傷薬を放った。
弧を描き、小さな無機質な小箱はアイツの手の中。



「…有難う」
困ったように笑う、アイツ。
見てられないって。
好きすぎるのだ。辛い、ツラい。

その小箱に、俺の気持ちが込められていたとしたら。
お前は、受け取ってくれるのだろうか。
浅はかな、ヤツだな。




剣のような鋭い信念を持った姫は廊下の奥に消えた。
窓の外は、雨。
鈍色の世界。
俺の中身と同じ色。
早く、帰ってこいよ。

お前がいないから、アイツは強くなるばっかりだ。
俺が守ってやることも出来ないほどに。
想いを伝えることもできないほどに。


「めんどくせ…」


難解な問題に俺は頭が痛い思いがした。







俺は脇役のままでいいのさ!

















fin.
+++++
はいっ、逸で御座います!

この作品はオフ友の静海からいただいた品ですv当初私だけが見てウハウハする予定だったのですが(おいっ)あまりに素敵な小説なので、急遽祭に飾らせていただき(殴)

っもう!シカマルの愛が伝わってきますねっ!シカマルの想いが切なくて、どうしようもない気持ちがじわじわキてますっ+゚文才の巧みさに目を見張りますよ!!



静海様っ、本ッッ当に感謝感激です!
有難う御座いました!!






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あきゅろす。
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