*短編小説*
【運命線の途切れる刻に】
「世界は既に何度も滅んでいる」
その有名な知識人の言葉は、それまでの僕には意味が分からなかった。
むしろ、今も完全に理解しているとは言えないだろう。
けれども、ひとつだけ思う事がある。
深すぎる意味をはらんだそれは、この時の事を指していたのだろうか…。
【運命線の途切れる刻に】
その日、僕はいつもより遅くに起きた。正確に言えば、僕はお昼近くまで寝過ごしてしまっていた。
陽射しが注ぐ明るい月曜…学生だった僕にとっては、一週間はその日から始まるようなものだ。
だけれども、その日から始まったのはそんな「普通」の事じゃなかった。
「『neu』…」
僕らの日々を狂わせたその大災害を、誰かがそう呼んだ。
風は止み、大地は割れ、火は熱を失い、水は涸れていく。
世界の破片は次々と剥がれ落ち、光と闇の狭間へと吸い込まれていった。
そうして最後に残ったのは、
大層大層ちっぽけな僕らだった。
そう、それは明るい月曜日。
だったはずなんだ。
なのに、「さっき」は失せた。前触れもなく。
そして世界は終わってしまった。僕らの目の前で。
いとも簡単に。まるで飛ぶかのように。
神が行く末を決めるという「最期の審判」…それが今の状況を指すものなのか、否かは分からない。
ただ、
世界は確実にその時を迎えていた。
僕は全てが崩壊するその惨劇を目の当たりにしても、何も出来ずにその場で立ち尽くしていた。
同時に、頭の中で様々な考えが氾濫し、僕自身気づかぬ内に現実を見失っていた。
「本当は、始めから何も無かったのかもしれない。
僕らが言う『世界』なんて、元々存在していなかった幻だったのかもしれない。
世界が生まれる前、そこに何も無かったように…」
言い表しようのない絶望の念に襲われた僕は、それゆえ、ただ呟いていた。
「『neu』…」
光でもない、闇でもない「無」の空間の中で、僕ら以外に存在しているもの。
それは他でもない、世界を終わりへと引きずり込んだ大災害「neu」。
その正体は、世界という「幻」が生まれる前から存在していた「無」だった。
だから今は、僕らと「neu」だけが唯一の存在。
「neu」は「無」なのに「有る」。「有る」のに変わる事も、代わる物もない絶対的な存在。
だから、僕らの見ていた「幻」に変わってくれる事もなく、この世界では「幻」は「幻」でしかないんだ。
光も、
闇も、
昼も夜も、
笑顔も涙も君や僕すら!!
「『neu』…」
夜空に輝いていたはずの北斗七星は、今は、無い。
だけど、この上なく輝いている光が、空に、七粒。
それらは「彼」をその目にとらえていた。そして僕に「彼」の存在を指し示してくれていた。
「彼」には絶対不可能な事でも何でも全て実現出来る事も、僕はおぼろげに感づいていた。
でも、もう遅かった。
何処からともなく流れる物悲しい音楽は、僕をとらえた瞬間から僕を離しやしないんだ。
そして全てを抜かれた「何も無い」僕は、ただ、世界の終わりを歌っていた。
僕が失ったものから生まれた北斗七星は、僕が失う度に段々と定められ、ついに完全な姿となった。
光も
闇も
昼も夜も
笑顔も涙も
そして君も。
「『neu』…」
最後の言葉を呟いたその瞬間。
歌は終わり、僕の全ては終わった。
「―ん?どうした?お前も『俺様DJセット』に興味があるのか?…なんだ、違うのか。
でもお前、始めっから心底笑うっつー事が出来ないんだったな…。
ま、安心しろ、お前を独りにさせる大災害はもう来ねぇ。
失ったものは戻らねーが、違うものでも再び積み直せると、俺様は信じてるぜ…」
the end.
*後書き*
歌詞に沿って書いてみました第二弾。「neu」の歌詞を管理人の空っぽな頭で無理矢理日本語訳したものを元に書きました。
なので実際に歌詞と合っているのかは不明 ←オイ
文頭の「世界は既に…」は管理人がどっかしらで聞いた うろ覚えな言葉です。何処で聞いたのか よく覚えてないー…
いい加減でサーセン;
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