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*短編小説*
[Reflection Into the EDEN]

世界の各地には、太古の昔に造られた知られざる遺跡が幾つもある。
このひとつは、かつて世の誰しもが探し求めたという『エデン』について刻まれた、ある森の小川に建つ物である。



[Reflection Into the EDEN]



『エデン』それは神の手により創られた永遠の楽園。
聖書に書かれしは、人間を含めた全ての生き物が生まれ、育ったという滅ぶ事無き約束の地。
それと共に、人間が負った罪により二度と戻る事の出来ない遥かなる存在…。



太古の昔、世の人々は長い事エデンを探し求めた。
そして遂に、彼らはエデンへの道標となる杯の存在を突き止める。

しかし、それ故争いが国々で立て続けに起き、大地に絶えず憎しみの紅が滴った。


それでもエデンを我が物にしようと もがく者々によって、やがて杯がひとつの国の手へと渡ると、国は全てをなげうってエデンへの道を開こうとした。



だが、

杯は道標になるどころか いとも簡単に砕け散り、杯を手にするまでの長かった時間は一瞬にして瓦礫となった。



人々は、自分達がただの器に莫大な犠牲を払ってしまった愚かさに気付き、それと同時にエデンはやはり遥かなる存在だと教えられた思いで、嘆き、そして深い悲しみに暮れた。



あの惨劇からどれほどの月日が経ったのか。


エデンは人々の中から忘れられていき、エデンを巡る戦いも、その為に流される紅も無くなった。
同時に栄華を誇っていた国々は静かに滅びの時を迎え、世界は息を吹き返した。


かつて杯が割られた地は、今や地下水が湧き出す泉となっていた。
そこには水に浸かって苔が生えた石柱が幾つも建っている。

そして崩れた石垣の中を穏やかに流れる水面に、澄み渡る空とざわめく木々、差し込む光など様々なものが映っていた。


国が滅びる前、ここに残されたエデンの記録。壁画の端には、誰かの手により彫られた言葉が小さく綴られている。


「人々はエデンという名の水面に映る景色を巡り、争った。

確かに、それは水の上で美しく輝いていた。

だが、それは手に取る事の出来ない幻でしかない。

水面から目を離して振り返れば、それは確かに存在していたのに。」と。



the end.





*後書き*
「Reflection …」を聴いて浮かんだイメージを元に書いた小説です。
…なんか分かりにくい話ですね。素晴らしい名曲をとんだ駄作にしてしまってスイマセン;

結局の所、エデンとはこの美しい大自然なんだーという話でした。
…いつも後書きが解説になってしまって申し訳ないです…orz

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あきゅろす。
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