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人生楽しんだ方が圧倒的に得




久々に晴れ間が覗いたその日。

私はサスケくんの部屋へと向かっていた。
元々は、サスケくんが修行が忙しくて引越しの準備が全く進んでいないから、暇なら手伝ってやってくれとカブトくんに頼まれたことからだった。

しかし、別に荷造りを手伝ってあげても良いけれど、それだけを目的にするわけもない。
私の最終目的はただひとつ。

サスケくんも、いくらサスケくんとはいえ年頃の男の子だ。


部屋をあさればエロ本のひとつやふたつやみっつやよっつ見付かるに違いない!!
それをダシにどうこうしようというわけではないけど。(仮にカブトくんの部屋でエロ本を見付けたら、話はまた別)

引越しの荷物整理ついでに、そういう下世話な…いや、素敵なロマンスに出会えればなあと思っているだけだ。



「はろーサスケくん!お元気?」

わざとノックせずにドアを開けようとする……が。

「ありゃ」

ガチャ、と硬い手応え。鍵が掛けられているみたいだ。サスケくんの気配はするから、留守にしているというわけではない。内鍵を掛けてこもっているらしい。


「寝てる……わけでもなさそうデスね。ははあ、籠城ですか」

最近のサスケくんは、とにかく私(と書いて面倒事と読む)に出くわさないように気を付けているらしい。それにしても鍵を掛けて居留守を決め込むだなんて、名前ちゃん寂しい。


「こうなったら、サスケくんあぶり出し作戦結構ですね……えーと、そうですねえ、サスケく〜ん!こっちに美味しいトマトがありますよ〜あ痛っ!

前触れなく開いたドアに、おでこ辺りを思い切りガツンとぶつけた。ドアの向こうには、呆れ顔のサスケくんが立っている。


「……俺の部屋の前でなにをやってる」

「うう、居るって分かっててやりやがったデスね……」

知らん顔してるサスケくんの足を踏もうと頑張るが、ひょいと避けられる。


「で、もう一度聞くが俺の部屋の前でなにをやってるんだ」

「あーそうそう、サスケくんがお引越しの準備終わってないから手伝って来いって、カブトくんに言われたんデスけど人手要ります?」

迷惑そ〜〜な顔をするサスケくん。なんて分かりやすいんだ。露骨に嫌がりすぎて逆に清々しささえ覚える。あの分かりづらいお兄さんの方にも、これくらいの露骨な自己主張をして欲しいものだ。


「そんな顔したって、事実まだ全然荷造り終わってないんでしょ?」

サスケくんの肩越しに部屋を覗き込む。元来、そんなに部屋を散らかすたちではないんだろうけど、沢山の巻物や忍具が乱雑に隅に寄せられていたりして、まあ修行がとっても忙しいんだろうなあ、というのはよく分かる。

「この名前ちゃんが!手伝ってあげるんですよ?中々こんな機会ないですよ!他人が忙しそうにしていても寝転がってワイドショー見ていられる性格ですからね私は!」

「最低だな」


私を軽くあしらい、部屋に鍵を掛けてサスケくんは足早にどこかへと向かう。方向からして武器庫だ。どうやらまた、中庭で修行をするつもりらしい。

私からしてみれば、真後ろにある的のど真ん中にクナイを命中させられる時点で、もう投擲の修行は良いんじゃないと思うんだけど。サスケくん曰く、死角の的に当てられてようやくイタチ兄さんに並ぶのだそうだ。


「また修行ですか。あ、私が付き合ってあげましょうか」

「お前に修行を頼むくらいなら、壁にクナイを投げていた方がマシだ」

「ふうん、どんなに投擲を練習しても、動く的に当たらなければ意味がないと思うんデスけどねえ」

「何が言いたい」


足を止めたサスケくんに、ニヤッと笑ってみせる。

「ここだけの話、私にクナイを当てるのはイタチ兄さんでも至難の技ですよ」

相変わらず、イタチ兄さんの名前には顔をしかめる。しかし今回はそれ以上に、私の挑発の方が気になったらしい。

嘘は言ってない。デイダラくんの爆弾とかサソリさんの毒千本とか飛段くんの大鎌とか、なまじ食らったら一撃即死のものを相手に修行してきたぶん、私の回避力は伊達じゃない。(まあサソリさんに関しては、修行というより私がちょっかい出して反撃してきたのを避けてたってだけなんだけど)


「どうです?やってみます?名前ちゃんに1発でも当てられたら凄いな〜って思うんですけど、まあサスケくんには無理かなあ〜」

「………………」

流石に、こんな露骨な挑発には乗ってこない。しかし、乗りたがっている……というか、普通にイラッとしてるのが手に取るように分かる。サスケくんって何だかんだ、機嫌が顔に出るんだもんなあ。


「……良いだろう」

「ひゃっほうやりい!じゃあ私に一撃も当てられなかったら何してくれます?

おい待て話が妙な方向に行ったぞ


リスク無くして何が修行だねサスケくん。

「まあまあ、私が負けたら1週間くらい関わらないでいてあげますから。まあ負ける気はしませんけど。まさか今さら、やめるなんて言い出しませんよねえ?」


サスケくん、早速「やっちまった」みたいな顔をしている。もう遅いのだよふっふっふ。


「さて、ではクナイを取りに行きましょうか。本数制限か時間制限か、どちらにします?」

「………………時間」

「おっけー!」


ああ楽しみだ。やっぱり娯楽というものは、与えられるものではなくて自分から探しに行くものなんだ。

さあ、どうにも未だに私のことを舐め腐ってるサスケくんに、お姉さんの威厳というものを見せ付けてやりましょう!


(まあ、避けるだけなんだけど)

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あきゅろす。
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