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紅い瞳と、個人的メランコリー



暗闇から私を見つめる、紅い瞳。


「………………」


扉を開けた体勢で固まったまま、私はその瞳を見つめる。



「…………誰だ?」


響く、凛とした声。
ああ、この人はまさか………!


「イタチぃ、殺気ゆるめてやれよ、うん。(イタチの殺気は半端無ェからな、流石の名前もビビって……)」


お会い出来てマジで光栄ですイタチ兄さん!!!


「「(動じて無ェェェ!!!)」」


デイダラ君とサソリさんの心の叫びが聞こえたような気がしたけど、まあ気にしない気にしない。

それよか、今はとにかくイタチ兄さん!
あれ程萌えt……いや、憧れたイタチ兄さんが!目の前に!


「おい……誰だコイt「私、苗字名前と申します!今日からお世話になります宜しくお願いしマス!」


物凄い勢いで自己紹介をしたら、イタチ兄さん、1・2歩引いた。


「……デイダラが連れて来たのか?」

「いや、なんつーか「いやぁ、それにしても麗しいですねぇ。マジで破壊的な美貌ですね。握手して下さい」

「オイラの台詞に被せんじゃねーよ!」


うるさいデイダラ君はシカトして、勝手にイタチ兄さんの手を取って、ぶんぶん振りながら握手。
いやー、マジ幸せだわ。


だが幸せな時間を引き裂くように、なんだか桁外れの殺気が私を襲う。




「………で、結局貴女は誰なんですか?」


うわ、この口調はまさか。

私は咄嗟に、イタチ兄さんの後ろに隠れた。



アジトの更に奥から現れたのは、やけに背の高い男。
……そうですよね。イタチ兄さんがいるなら、アナタもいますよね…………鬼鮫さん。



「どーもぉ鮫さん。名前ちゃんっていいます。今後とも宜しくデスー」


とりあえず挨拶はしとくけど……
うわ、マジ怖ェこの人。リアルに鮫じゃん。


「いえ、名前を聞いているのではなく…………というより、何故イタチさんの後ろに……」

「隠れ心地が良いんデスよ。私の正体なら、そこのちょんまげ君から聞いて下さい」


デイダラ君を指差すと、誰がちょんまげ君だコラァ!!!と吠えた。


「さて、うるさいのは放っといて、とにかく今日からお世話になるんです。本当に本当に、宜しくお願いしマスよ?」


鮫さんの殺気に当てられながらもにやりと笑うと、イタチ兄さんと鮫さんは、微妙な表情で顔を見合わせた。


それにしても、こんなに早く会えるとは思ってなかったな。こいつらって、バラバラに行動してるイメージあったし。
あ、これが夢小説的展開か。


デイダラ君が2人に説明をしている間、私は美しいイタチ兄さんのお顔を凝視する。


(……そう言えば、この人………)


可哀想な人なんだよな……。
悪者のふりして……憎まれて恨まれて…………



…………………。



「……………うん、よし!決めました!!」


急に声をあげた私にびっくりしたのか、4人がこっちを見る。


「何だぁ?うん?」

「決めました!イタチ兄さん!やっぱ宜しくお願いしマス!」

「……………?」


訳が分からない、という顔をしているイタチ兄さんに、私は優しげに(少なくとも、私が『優しげ』だと思っている表情をもって)笑いかけた。




(決めたんです。イタチ兄さんには、出来るだけ優しくしましょう)





* * * * * *

主人公の敬語がたまに片仮名になるのは、正直言うと鬼鮫との区別をつけるためだったりします。


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