人魂と幻術と策謀がうねったり。 「……………」 「……………」 ↑この2つの台詞、私――名前ちゃんと、イタチ兄さんのもの。 何で無言なのかと聞かれると、私にも分からない。 イタチ兄さんが珍しく私の部屋に遊びに来たんだ。 (前回人魂に絡まれてから、イタチ兄さんは私の部屋を避けていた) ……で、私と目が合うや否や…… …………無言。 相手が無言だから、こっちから話し掛けるのもしゃくなので、意地張って私も無言。 「……………」 「…………?」 「…………名前」 「はい何でしょうか」 「……………お前、幻術効かないのか?」 幻術かけとったんかい。 「え、勝手に何してんデスか」 「少しは幻術の修行もしたらどうかと思ってな」 「だからって前置き無しにしなくても……」 ………って、 …………ん?私って、幻術効かないの?何で? イタチ兄さんは漂う人魂を横目で見ながら、部屋の扉を閉めた。 「名前、俺の目を見ろ」 「イタチ兄さん、いやらしいですイタチ兄さん」 「黙れ」 仕方無く、ちょっとドキドキしながらイタチ兄さんの目を見つめる。 紅い瞳に、三巴の模様が浮かぶ……。 「…………ん、」 視界がぶれる。だが、それも一瞬。 「………やはり効かないか」 「あー、うー、ちょっとくらくらしますけど」 「俺の幻術を受けて『ちょっとくらくらする』くらいで済むなんて、木ノ葉の上忍にもそう居ない」 「はあ……」 何でだろうなぁと考えていると、私の肩辺りに青白い人魂が現れた。 ふよふよと漂いながら、何だか自己主張をしてくる。 「………何だソイツは」 他の人魂達と違って青白い色をしているこの子に、イタチ兄さんも興味を持ったようで。 「肩乗り人魂ちゃんです。この子、こっちの世界に来た時からついてくるんデスよねー」 まあ、伝わってくる思念は親しげなものだから、追い払いはしないけど……。 「あー……どうやらこの子が、チャクラの流れを正してくれてるみたいデスねぇ」 「………そんな事が」 「あるんデスねぇこれが」 って事は、この子がいる限り幻術効かないって事?うひぁー。名前ちゃん最強フラグ? 「だが、月読だとどうか分からないな……」 「あの、何の心配してるんデスか?」 イタチ兄さんは、呑気な私に気を害したのか、写輪眼で私を睨み付ける。 「マダラが、お前に目を付けている」 「あー……やっぱですか」 「下手に動くと、殺されるぞ」 「えー、名前ちゃん、こんな若さで死にたくなーい」 「だったらとにかく、マダラと2人きりになるな」 「なりませんよー。怖いもんあの人」 とにかくイタチ兄さんは、私に幻術が効かない事が分かって安心したようだった。 うん。私も安心だ。 「それにしても、イタチ兄さんやけに親切ですねぇ」 「……………」 「いや、親切にして頂くのは有難いんですが……」 「…………そうだな」 イタチ兄さんは私の頭をごしゃごしゃと乱暴に撫でてから、写輪眼を引っ込めた。 「……とにかく、分かったな」 「はーい。あ、イタチ兄さん、林檎食べません?たしか台所にまだあったと思うんですけど林檎!」 「……そうだな、食べるか」 「またうさちゃん作りますよ!!」 イタチ兄さんと一緒に、部屋を出る。 この後居間に行ったら、デイダラ君とトビ君がいて物凄くびっくりしたのは、また別のお話。 (肩乗りの人魂ちゃんと、イタチ兄さんの優しさに感謝です) [*前へ][次へ#] |