節約は大事
次の日、私が目を覚ました時にはもう、リーダーと小南ちゃんは出てしまっていた。
「はーあ……寂しいデスね……話し相手がいないと」
居間のソファにて、ひとり寂しく本(デイダラ君から借りた『基礎忍術百選』)を読んでいると、誰かが居間に入って来る気配がした。
目をやると、そこにいたのは角都さん。
「名前、丁度良い。ちょっと俺の部屋に来い」
「ふへ?何でデスか?」
「良いから来い」
角都さんに言われるままについて行く。
「入れ」
角都さんが部屋の扉を開けたので、お邪魔しまーすと言って遠慮無く入った。
中はどちらかと言うと殺風景で、無駄と思われる物は一切無かった。さすが角都さん。
「………そこに座れ」
指定された椅子に座る。
一体何だろうか。怒られるんだろうか。何かしたっけな。
まあ、とりあえず全部飛段君のせいにしておこう。
「……俺は、暁の帳簿係りを受け持っている」
「存じております」
「………お前が来てから、食費がかさむようになった」
……………あ。
そういう話?
「そら仕方無いデスよ。どう頑張ったって、人数が増えたらその人数分食費が要るに決まってるじゃないデスか」
「お前………案外ふてぶてしいな」
「無駄食いはしてない筈デスよ。そんなに大食いじゃあないですし、お菓子はデイダラ君からパクってるし」
「デイダラにそんな事をしてたのか……!」
角都さんは、若干デイダラ君を哀れむような表情をした後、再び帳簿と睨めっこを始めた。
「……だが、財政難だ」
「暁のお財布って、結構ショボいですよね」
「なんだかんだ言って、育ち盛りが多いからな」
育ち盛り?
あ、そっか。今は第1部だから、第2部の年齢から3年引かなきゃいけないのか。
……って事は、イタチ兄さんは18歳。うは、ピチピチだな。
飛段君は………19くらいかな。うーん、10代か。
デイダラ君は…………
「16歳!!?」
「うわ!?何だ?」
「ちょ………16歳て!!16歳て!!!!」
若いな!若いっつーか、幼いな!!
うわ、今日会ったらからかってやろう。16歳かー。確かに育ち盛りだわ。
っつーか、思春期間っ盛り?
「………それで、食費の事だが」
「ああ。生憎デスが、何を隠そう私も成長期ですので、食費を減らされては困りマス」
「…………全体的に削るか」
「…………それって、暁全体の食事が、心持ち貧相になるという事デスか…?」
「そうなるな」
………皆、ゴメン。私のせいだ。あは☆
「それにしても、角都さんも大変ですねぇ。暁の予算管理なんて、難しいでしょう」
「楽しいから良いがな」
楽しいんだ。やっぱお金好きなんだね。
「むしろ、俺にはお前の方が大変に見えるが。飛段に絡まれて」
「大変っつーか、ウザイです。角都さんは優しいので好きですよー」
『優しい』の単語に角都さんは苦笑して、私の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
(悪く言えば守銭奴。良く言えば倹約家なおじいちゃん)
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