超突発!暁鍋祭り!A
世間は年末、そして年越しだというのに。
「おいサソリー。まだかよぉ遅ェんじゃねーの」
「うるっせえ飛段。だし汁ぶっかけるぞ」
S級犯罪者達は、1つの鍋を囲んでわいわいと騒いでいた。
「………よし、こんなモンか……」
「お、もう食って良いんだな?ゲハハー……じゃあ早速肉から……」
だがしかし、飛段君が鍋に箸を伸ばすより先にサソリさんが、山盛りの白菜をお玉で飛段君の器に盛った。
「はァ!?何やってんだよサソリ!俺、肉以外は食わねーし!!」
「うるせえ黙れ。鍋奉行は俺だろうが」
※鍋奉行とは本来、鍋に具を入れたり火の加減を見たりするだけで、他人の食べる具材チョイスまで左右する権限は有りませんよ!
大量の白菜を前に、飛段君は完全に固まっている。
サソリさんはここぞとばかりに、そのドSっぷりを発揮している。
もう、面白過ぎるんだけどどうしよう。
「旦那ぁー!何でオイラの器に椎茸ばっかり入れるんだよ!うん!」
「椎茸食わねーと身長伸びねぇぞ」
「じゃあ、サソリさんは椎茸食べなかったんデスか?」
「………………………良い度胸だ名前……」
「ああっ!!そんなにだし用の昆布ばっかり入れないで!」
サソリさんによって沢山入れられた昆布を子皿に出して、私は再びサソリさんの目を盗んで具を取る事に集中し始めた。
あれ?鍋ってこんなに緊張するモンだっけ。
その後もサソリさんの暴挙は人を選ばず、
「……………サソリ。さっきから俺の器に、しらたきばかりが増えていくのだが」
「良かったじゃねーかクソリーダー」
リーダーまで……。
ドS鍋奉行の被害を受けてないのは、イタチ兄さんと鬼鮫さん、角都さんと小南ちゃん、ゼツさん………
…………あれ。これってちょっと違うよね。
『イタチ兄さん達が被害を受けてない』んじゃなくて、『私らだけが被害を受けてる』んだよね?
……………。
何とかしてよ、という視線をイタチ兄さんに送ったら、「鬼鮫、ポン酢を取ってくれ」と、ナチュラルに流された。
「あー!こんなに白菜ばっか食ってられっか!ふざけんな!」
ついに、飛段君がキレた。(でも、白菜には一切手は付けられていない)
「肉を食わせろ!肉!」
「オイラも、今日ばかりは飛段に賛成だ!うん!」
「不本意だが俺も賛成だ」
飛段君、デイダラ君、そしてリーダーの三国同盟(?)もしかし、悪徳鍋奉行には敵わない。
だって逆らったら白葱ばっかり入れられるし。
「ほら名前、お前も何か言ってやれ!うん!」
「え、私デスか?私は………」
「名前、肉団子はいるかしら?」
「欲しいですー♪」
「こンの裏切り者ォォ!」
デイダラ君が吠え、そして彼の器には白葱が追加されるのだった。
その後は何だかんだ言ってサソリさんも譲歩し、皆無事に肉をゲットして、鍋は綺麗に空になった。
「ふはー。お腹いっぱいデスねー」
「さて、ではこの後は………」
鮫さんが台所に消え、そして御飯を持って来る。
「鍋の後と言えば、雑炊でしょう」
「定番デスねー」
鍋の中に御飯が投入され、皆が一斉に鍋に群がる。
「あー飛段!そんな沢山取ってんじゃねーよ!うん!」
「うっせ!早いもん勝ちだバァーカ!」
「うるさい黙れ飛段」
もうホント、あっちの3人(いや、角都さん入れたら可哀想か)めっちゃうるさい。
こっち………つまり私とリーダー組、イタチ兄さんと鮫さんサソリさんに、前回からまさかの超空気的存在感なゼツさんは、静かに優雅に雑炊を食す。
「美味しいわね、名前」
「はい!あ、その余ってる豆腐、私に下さい!」
「……………」
「はぅっ!イタチ兄さん取って下さるのデスか!?それってつまり間接チュー……!!」
「………………」
「あっはっは。そんな真顔で箸引っ込めたって、そもそも鍋という料理自体、集団間接チュー大会みたいなもんじゃないデスか!」
「駄目ですよ名前、イタチさん案外そういうの気にしますから」
「黙れ鮫」
「…………リーダー、食べないの?……………冷メルゾ」
「食べるさ……」
「………気ニスルナヨ、出番少ナイカラッテ」
こうして、暁メンバー全員揃った楽しい楽しい夜は、ゆっくりと更けてゆくのでした。
(願わくば、この幸せがいつまでも続きますように……)
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