アポ無し訪問って迷惑。
――……朝。
まだ眠いと駄々をこねる脳味噌を叩き起こし、目を擦る。
今日は、リーダーがアジトに来る1日前。
良い加減、リーダーに何と言って納得してもらうかを考えなければ。
それに、あまり遅く起きると、鮫さんが作る朝御飯(無駄に絶品)を食い逃してしまう。
……という訳で、適当に髪に手櫛を入れた後、居間へと向かう。
ガチャリ、
居間の扉を開けると、全員の視線が私の方を向いた。
…………ん?
…………『全員』?
「……皆さん、何故にお揃いで……?」
まだ眠いので、上手く頭が回らない。
いや、それにしても、こうしてみると暁って、結構人数いるんだな。
いつもより多いし……。
…………『いつもより多い』……?
居間を見渡すと、初めて見る、二重三重にもなっている瞳と、目が合った。
その瞳は、私をじっと見る。
「………とりあえず、第一印象は……………髪をとかせ」
うわあぁぁぁぁ!!!!
「ちょ……!ペインさん!何故ここに………っていうか、あれ!?明日の筈じゃ……あれ!?きょ…………あれ!!?」
「とりあえず名前、落ち着きなさい」
鮫さんがお茶を持ってきてくれたので、それを一気飲みして、冷静に考えてみる。
……ペインさんは、明日来るって言ってた。それは間違い無い。
じゃあ何故、今ここにいる?
「…………もしかして私、丸々1日寝ちゃいました?」
「いえ、単純にリーダー達が予定より早く着いたんです」
「あー、そう」
迷惑なやっちゃ。
まあ、文句は言うまい。とりあえず挨拶だ。
「えー、何日か前からお世話になってます。苗字名前と申します宜しくー」
「それより、まずは髪をとかせ。気になる」
……私はアンタのピアスの方が気になりますが。
『チッこいつウゼエ』みたいな目でリーダーを睨んでいたら、リーダーの隣に立っていた女性が、私に手招きをした。
「いらっしゃい。とかしてあげるから」
おおおぉぉ……!!
まさに天使だなオイ。
「マジですか!?じゃあ、宜しくお願いしマス!」
その女性……小南さんの所に行くと、小南さんは真っ白な櫛で、私の髪をとかしてくれた。
「ふへへー。ありがとうございました。いやぁ、お綺麗デスね小南さん。今度とも、どうぞ宜しくしたい次第でございマスよ」
イタチ兄さんの時同様、勝手に手を取ってぶんぶん振りながら握手。
それを若干不機嫌に見ているのは、他でも無い、リーダーその人。
「………それで、名前。お前は異世界から来たそうだが」
「そうデスよー。だから行く所無くて、困ってんです」
「………証拠が無い事には、な……」
「証拠、デスか?」
少し考えた後、近くにいたゼツさんに、今現在の忍の世界の様子を聞く。
そこから推測するに、多分今は本編でいうと………
「……霧隠れの、桃地再不斬………が、死にますよ。もうすぐ」
私がそう言うと、リーダーは興味深そうな表情になる。
「……未来が分かる、と?」
「未来が分かる訳じゃありません。初期の展開を知ってるだけデス。『現在』が変われば、そうなった場合の展開は知りません」
「成程、面白い……」
リーダーは、目を細めて考え込んでいる。
その間、私は改めて居間を見渡した。
いつものメンバーに………あ、今の段階じゃ、まだ正式メンバーじゃないから、トビ君はいないんだ。
飛段君と目が合ったら、ニッコリと笑いかけられた。
「………よし、名前をここに置いておく事を許可する」
「マジですか!!ありがとうございます!」
「ただし、逃げようとするなよ?」
「いやぁ、それは無いデスよ!」
食うモノがあって、雨風しのげる寝場所があって、適度な暇潰しもいる。
こんな良い所を、誰が逃げ出そうなんて考えるというのか。
「じゃあ、暁の皆さん!今日から正式に、宜しくお願いしますね!!」
皆に向かって、ぺこりと一礼する。
「歓迎するぜー」と言ったのは飛段君。
「またうるせーのが増えたな……」とか言いやがったのはサソリさん。
他にも、皆それぞれの反応を示したが、全部『歓迎』と受け取る事にした。
(何事も、楽しい嬉しいに越した事はありませんから!)
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