あと3日・不死身コンビ
人肌って、気持ち良いものだ。温かくて、柔らかくて。
気持ち良いものの筈だ。
「…………筈だよなぁ……」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も無いデス。それより、良い加減降ろしてくれません?」
「ん?嫌」
今、私は乗っている。
…………何に、って……
「いやーそれにしても、まさか久々にアジトに帰って来たら、女がいるとは思ってなかったぜ」
………飛段君の、膝の上に。
経緯としては、
飛段君と角都さんが、アジトに帰って来る→私を見付ける→「女がいる!」と、飛段君のテンションが急上昇→鮫さんが、なんやかんや説明→飛段君と私の、無言の追いかけっこ→そして、今にいたる。
「…………飛段、そろそろ離してやれ。名前の表情が、だんだんグロッキーになっている」
角都さんが助け舟を出してくれるけれど、飛段君は丸無視。
「なぁなぁ、名前は異世界から来たって、本当なのか?」
「あー?本当なんじゃないデスかー?」
「え、何怒ってんだ?」
長時間、不本意に男の膝に座らされてたら、擦れもしますよ。
「でも名前、抱き締め心地が最高なんだよ。小っさくて」
「小さいを求めてるなら、デイダラ君で良いじゃないデスか」
視界の隅っこで、角都さんが吹いた。
「あー……まあデイダラちゃんも考えた」
今度は、私が吹いた。
「考えたの!?考えちゃったの!!?」
「でもなー、アイツは男だし、うるさいしムカつくし、固そうだから嫌だ!」
「あ、ああ……感覚は普通なんですね…………で、何で私が代わりに?」
「だって小せーし、女だし柔らかいし……………あ、抱き枕に最適っぽいから、今夜俺のベッドに来ない?」
「死ねよ」
何なんだ。このセクハラ変態ヤローは。
「いや、死なねーし。それに、下心は無ェよ。純粋に抱き枕として……」
「角都さーん。死なない相手に対しても有効な、半永久的に黙らせる方法はありませんかね?」
「うわっ!?お前、以外と発想怖ェ!!」
「…………声帯を潰したらどうだ?」
「角都も!!的確なアドバイスしてんじゃねーよ!」
相変わらず、飛段君の膝に乗ったままぎゃあぎゃあと騒いでいると、アジトに誰かが帰って来た。
「只今ー、うん」
「あ、(よっしゃ!ナイスタイミングデイちゃん!)デイダラ君!ちょっと助けて!!」
「ん?うわっ……」
飛段君を見るなり、デイダラ君の表情がそれはもう険悪になった。
「よぉデイダラちゃん。悪ィが、名前は独占させてもらってるぜ」
「いや、それはどうでも良い」
「良いんかい」
ついつい、突っ込みたくもなるというものだ。
「ふーん。どうやら名前を独占したいのは俺だけみたいだなラッキー。じゃあやっぱ名前、今夜は俺のベッドに……」
「飛段君って、首落としても死なないんデスよね?」
「死なないけど何する気だよ」
一度チョンパしてやりたい。って事デスよ。
それからデイダラ君と飛段君が言い争い始めたので、隙をついて膝の上から抜け出してやった。
「あ!」とか喚く飛段君を無視して、角都さんの所に行く。
「あの2人、いっつもあんなんなんデスか?」
「まあな。お前も大変だな」
角都さんは、そう言って頭を撫でてくれた。
膝の上より、こっちのが良いな。
(不死身コンビは、なんだかボディタッチが多いようです)
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