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あと6日・スキルアップ


――……快晴。


雲ひとつ無い青空を見上げて、私はぼんやりと呟いた。

今日は、暁のアジトには誰もいない。
正確には、私以外の人間は誰もいない。


暇な事この上無いので、デイダラから貰った『基本忍術・初級』という本を膝に置いて(さっきから、ページは全く進んでいない)アジトの外でぼんやりしているという訳だ。



一応チャクラを練る事が出来るようになったので、木登り練習やら水上歩行やらも試してみたが、まあ何と無く上手くいった。

ただ、そういう練習は楽しかったのだが、基本忍術の練習はつまらない。(ので、長続きしない。)

集中しろ!とか、知るかっての。←



「忍術やるならやるで、ガッツリ格好良いのが良いんデスよねー……火ィ吐いたりとか」


口から炎の龍とか…………かっけぇ。


「性質変化、やってみたいなぁ……」


だが、ようやく水上歩行が出来るようになった私に、いきなり性質変化は難しいだろう。


…………でも、やれば出来るんじゃね?だって夢小説的展開では(しつこいので以下略)


性質変化は、全部で5種類。
試す価値はあるだろう。









「イタチ兄さーん!!!お帰りー!!!」


イタチ兄さんと鮫さんが帰って来るなり、私はイタチ兄さんの胸に突っ込む。

……が、兄さんが無言で避けたために、後ろに立っていた鮫さんの胸に見事にダイブした。


「ぶっ!ちょ、イタチ兄さん!!何故に避ける……」

「デイダラ達は、まだ帰っていないのか?」

「シカトかコルァ!!」


女の子にあるまじき巻き舌で突っ込んだら、鮫さんに注意された。
以外とそういうの気にするんだな。



「あ、そうそうイタチ兄さん。私、すんげー術をマスターしちゃったんデスよ!」


そう言うと、イタチ兄さんと鮫さんが、興味深そうに私を見る。


「今日一日中、練習してたんですか?」

「イエス!で、見事習得したという訳デス!」

「そうか。で、デイダラ達は……」

限り無くシカトに近い反応してんじゃねーですよ


渋る……というか面倒臭がるイタチ兄さんと、ちょっと面白そうな鮫さんを引っ張って、アジトの外へと連れ出す。


「良いですか?見てて下さいよ?」


チャクラを練った後、すぅ、と息を吸う。

そして次の瞬間、肺の中の空気を思いきり吐き出すと同時に口元から躍り出たのは、大きさこそ小さいものの、紅色をした立派な火炎の龍。


龍はしばらく空中を躍り狂った後、小さくなり、消えた。



「どうですか!?これ!まだ技名は決まって無いデスけど、どうせ技名叫びながら火遁なんて出来ないから良いですよね?」


得意気に振り向くとそこには、唖然とした表情のイタチ兄さんと、ちょっと楽しんでいるような鮫さんがいた。


「……名前、ちょっと聞いても良いですか?」

「ん?何?」

「あなた、子供の頃は女子より男子の輪の中に入って遊んで、しかも若干ボス格だったでしょう?」

「…………何で分かったの……?」

「いえ、龍のデザインが、女子のそれではなかったので」


失礼な。女の子でも龍とかロボとか好きな子は沢山いるよ。



まあ何はともあれ、名前ちゃん、火遁マスターです!




(ふふん。やれば出来る子なんデス。私は)

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