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愛ある少女の悲しみ




お兄様



お兄様はもう私の元へいて下さらないの




今日は雲ひとつない快晴
物干し竿に干した洗濯物を取り込んだ

ナナリーの体の調子もよい

「咲世子さん」

私はベッドに腰掛けたまま話しかける

「どうされました?」

咲世子さんは洗濯した衣服を畳みながら私の質問に答える

「お兄様はまたお出かけになられたのですか?」

「はい、最近よくお外に出られるようになりましたね」

咲世子さんはもしもの話しだが、私にとっては少し悲しい言葉を紡ぐ

「もしかしたら、恋人でもお出来になられたのかもしれませんね」

「そう…ですか」

か細い声で寂しそうなナナリーを見兼ねて

「ナナリー様」

「なんですか?」

「ルルーシュ様はナナリー様のことをとても心配されてますよ」

「え……」

畳んだ洗濯物をタンスの中に入れた咲世子さんは、ナナリーに微笑みかけた

「今日だってスザクさんとお話しされていましたよ、ナナリーの騎士になってくれないかって…」

「……そうだったんですか」

7年前からスザクに好意を抱いていたナナリーは思わず顔を赤らめる

「スザクさんが…私の騎士に」

「ナナリー様」

「はい、私はお兄様を信じます」

ナナリーが悲しい顔から笑顔に変わったので咲世子も安心した

「私は足りない物がありますので買い物に行ってきますね」

「行ってらっしゃいませ」

咲世子はナナリーに一礼してからドアを閉め部屋を後にした

「…お兄様、お兄様のお気持ちはわかります」

私を大事にして下さるたった一人の兄

「ですが……」

私は不安な気持ちでいっぱいなるんです

「お兄様はゼロと言う方とお付き合いされているのですか?」

ゼロ、ブリタニアに反旗を翻した反逆者

お兄様はゼロと言う方に巻き込まれているのですか

ゼロと言う方が現れてからお兄様は変わられてしまった

お母様を見捨てたお父様、ブリタニア皇帝を憎んでいらっしゃるのですか?

それとも…お母様が亡くなられてそのせいで私が失明して歩けなくなったから?



お兄様

私は今の暮らしのままでも構いません

お兄様さえ傍にいて下されば

だからどうかそのままのお兄様でいて下さい

お兄様が私を守って下さったように、私もお兄様を守ります

そして今日もお帰りになられたお兄様を笑顔で迎える

「お帰りなさいませ、お兄様」







愛ある少女の悲しみ



(本当のお兄様は何処へ行ってしまわれたの)










お題拝借:9円ラフォーレ様


あきゅろす。
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