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戦華

※SSSログ









シャルル皇帝が見初めた中の、何十人と言う皇妃の中でも、マリアンヌ皇妃はシャルルにとって特別な存在であった

古代彫刻を思わせる顔に、まろやかだが力強い、成熟した男の声

「マリアンヌ様」

「なあにー?ヴァルトシュタイン卿」

油性ペンを片手に、良からぬことを企む皇妃を耳に心地よい声(バリトン)で窘(たしな)めた

「私の顔に、油性ペンで落書きしようとするのはおやめ下さい」

実のところマリアンヌ皇妃は、無類の悪戯(いたずら)好きで、一部では有名であった

「気づかれてたのね。残念」

「無礼を承知で申し上げますが、私の顔で遊ばないで頂きたい」

マリアンヌは残念そうに、油性ペンをしまってビスマルクから離れる

「だって、ヴァルトシュタイン卿の驚いた顔が見たかったんですもの」

「まったく……貴方と言うお方は」

マリアンヌに向けて、上品に口元だけで苦笑する

恐れ多くもナイトオブワンにこんな芸当が出来るのは、数いる皇族や皇妃の中でもマリアンヌだけだろう

「では、私のガニメデと貴方のギャラハットで勝負しましょう」

「望むところです」

「あら…ナイトオブワンにしては、珍しいことを言ってくれるじゃない」

「模擬戦でマリアンヌ様と剣を交えることが出来るなんて光栄です」

「手加減はなしよ」

「勿論」

「ヴァルトシュタイン卿が勝ったら悪戯をしません」

「ほう、いいお答えですな……」

「けど、私が勝ったら悪戯し放題です!容赦はしません」

ねっとりと嗤(わら)うと、ビスマルクの鼓膜にさらなる毒を注ぎ込む

「そうねぇ〜……私に傅(かしず)く忠犬にでもなってもらおうかしら?」

「マ、マッマリアンヌ様……!」

驚愕に目を瞠(みは)ったビスマルクに向けて、最凶の皇妃は紫紺の瞳を鋭く煌(きら)めかせた

「では…また後ほど。ナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタイン卿」

マリアンヌはドレスの裾を持ち上げ、ひらりと身を翻(ひるがえ)し、スキップしながら去って行った

案の定、私は敗北

頭上に金盥(かなだらい)を落とされたり、雨の日に備えてるてる坊主にされた







(こんな悲しみじゃ泪も出ない)









マリアンヌさんとナイトオブワン(ビスマルク)

本編でライバル同士と聞いたので

ナイトメア戦は互角なんですかね?

今も昔もマリアンヌさんはお茶目な方です(笑)









お題拝借、闇に溶けた黒猫・9円ラフォーレ様


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