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星々の海へ跳んでいく




前置き

(ルルーシュとカレンのセリフについてですが、ジャンヌに出て来る稚空とまろんのセリフを一部意図的にパロってます。)

そのことをご了承の上、読んで下さる様お願い申し上げます







新しい力、紅蓮聖天八極式で1人、黒の騎士団から離反し神根島へとやって来たカレン

「ルルーシュ、どこにいるのっ?」

「ここだ」

「わっ!急に出てこないでよ!びっくりするじゃない!!」

「…カレン」

「スザク!?それにC.C.まで」

「お前とは久しぶりに会った気がする」

「奇遇ね。私もよ」

なぜ、スザクとルルーシュが一緒にいるのか問いたい気もするが、頭が混乱するのでやめておくことにした

「カレン、なぜここにいる?」

「なぜって…」

「俺は言ったはずだ。君は生きろと」

確かにカレンはルルーシュに言われた

「生きろ」と

「お前は俺の駒でしかなかったんだ、カレン」

「ルッ……!」

「用がないなら帰ってくれないか。俺にはしなければならないことがある」

冷たい仮面を被って、カレンを突き放すつもりなのだろうが、ルルーシュの真意は、解りやすいほど態度に現れている

今だって小さな手が小刻みに震えているじゃないか

「ルルーシュの…………」

ルルーシュの素振りにキレたカレンは、頭部目がけて野球ボールくらいの大きさの石を投げた

「ばかぁっ!」

カレンが渾身の力を込めて投げた石は、ルルーシュの頭部に命中

「なっ…なっ……いきなり何をする!カレン!!」

「うっさいっ!」

「俺は…世界を創造し、世界を壊す男ゼロなんだぞ!」

「でも!今はルルーシュでもあるんでしょっ!」

「うっ……そ、それとこれとは別だッ!!」

ルルーシュの頭にたんこぶが出来、止めようとしたスザクとC.C.は、ぎゃあぎゃあ騒ぐ2人の姿を見て唖然としていた

「C.C.あれ、どうすればいいのかな」

「枢木スザク…まあ黙って見てろ」

笑っているところを見たことがない、あのC.C.が意味深に笑ったので、とりあえずスザクも黙って傍観することにした

イレギュラーにとことん弱いルルーシュ

そんな彼を見抜いていたのか、カレンは転んだルルーシュの胸倉を掴み

「アンタはいっつもそうやって……1人で抱え込んで」

「何を言っている…?カレン」

冗談がわからないルルーシュは、カレンの言った言葉の意味を真に受けていた

「どーして私には何も言ってくれないの!?」

「はっ…」

「私のこと考えて黙っていてくれるのはわかるけど、1人で悩んでるのはずるいわっ!!」

「カ、カレ……」

「私だって自分が辛い想いするより、ルルーシュが辛い想いする方がずっと苦しいんだから…隠さないで何でも言って!!」

胸の奥に溜め込んでいた気持ちを、吐き捨てたカレンは、ひと呼吸置いて

「さみしい…」

泣きそうな表情を浮かべ、ルルーシュを見つめる――

カレンの顔が、視界に写った

「アンタまで離れていったら、私の存在はどうなるの?」

「え……あっ……」

「私はゼロの親衛隊隊長である前に…ルルーシュ、アンタ専属の騎士なのよ!」
「……!」

「ルルーシュのばかっ!大っ嫌い!!」

「ま、待てカレンッ!」

ルルーシュのいる方向とは反対に駆け出すカレン

それを追おうとするルルーシュ

「あきらめるんじゃなかったのか?」

C.C.はルルーシュにそう問い、彼は追い駆けるのをやめようとした

「ああ…」

そうだ、いいんだ

これで嫌われてしまえばあきらめもつく

だけど、君の細い肩

涙、笑顔

…そのすべてを

抱きしめてあげたい

「………っ!あきらめきれるかよ!!」

全速力で走って駆け寄り、後ろからカレンを抱きしめる

「離してよ馬鹿っ!嫌いっ嫌いっ」

カレンは右手で数回、白い頬を殴打(ビンタ)する

「ごめん」

「!」

「謝るから…嫌いだなんて言わないでくれ」

ただでさえ体力のないルルーシュが、息をゼエゼエ切らしながら、自分から進んでカレンの腕の中に来てくれた

「わかったわ」

喜びを顕(あらわ)にしたカレンは、ルルーシュのか細い体を抱き返す

「今まであったことを、カレンに全部話す…それでいいか?」

「うん…」

何を疑い、迷ってしまったのだろう

最初から、私の居場所は此処しかなかったはずなのに

「と、言うわけでだな……もはや俺達の敵は世界だ」

「それでC.C.は記憶が元に戻ったのね」

「まあ、そういうことになるな」

マイペースを崩さず、飄然とカレンに告(つ)げる

「カレン…」

「スザク、アンタはどうしてルルーシュについて行く気になったの?」

てっきりカレンは、ルルーシュとスザクが和解したのかと思っていた

だが、彼女の推測は少々ズレがあったようだ

「今は来(きた)るべきゼロレクイエムの為としか言えない」

「ゼロレクイエム?」

聞き慣れない単語にカレンは首を傾げる

「作戦概要の総称だ」

「これを実行に移(うつ)せば、世界は変わる」

「但(ただ)し…ダモクレス内部に突入しないと、決行は無理だがな」

次々と連呼する言葉に、カレンはまたも聞き直す

「ダモクレス?」

「敷(し)いていえば宇宙要塞だ」

カレンが抱いた疑問を、融通を利(き)かせたC.C.が解消し、眼前を見据(す)えるルルーシュ

「どうやらシュナイゼルは、隠し持っている核が搭載された超兵器で、世界中を撃つらしい」

「何ですってぇ!?」

カレンは内心、面食らう

宇宙要塞ダモクレス

そそり立つ岩壁のようにも感じられる巨大要塞

「絶対防御と言ったところかな」

ブリタニアの首都、ペントラゴンは、あのフレイヤの光に焼きつくされて消え去った

そのフレイヤ弾頭を撃ったのが、恐らくダモクレス内部にいるシュナイゼル

「陽電子リフレクターで守られていて、通常の機体性能では手が出せない」

地球をも撃てる最凶(きょう)の兵器

そして、その上に鉄壁の盾を張り巡らせていた

「だが、紅蓮とランスロットアルビオンなら突破出来るかもしれない」

フレイヤとダモクレス

――シュナイゼルは巧妙な手口で、禁断の兵器を手にしていた

「そう、か」

カレンは、シュナイゼルの理念を理解しがたい理由が、やっと分かった

(理屈とか、そういう問題じゃないわ。あの人を…信じきれないから……なのよ、ね)

そう、理性ではわかっているはずなのに、心の奥に巣くった懸念(けねん)は消えなかったのだから

「カレン」

ルルーシュが口調を切り替え、続けた

「俺達はシュナイゼルを倒しに行く。だが、強制はしない。我が騎士カレン、それでもお前は俺について行く気はあるか?」

カレンの脳裏(のうり)を、黒の騎士団の幹部達が語った言葉がよぎる

(ゼロがペテン師?フザけんじゃないわよ!!……シュナイゼルの狡猾な説明に踊らされて、勝手に銃を向けたのは、一体どこのどいつなのよ…!)

カレンの決意は固まった

「イエス、ユアマジェスティ!」

彼女は迷いを断ち切った

「この命尽きるまで…ゼロやルルーシュとともに歩んで行くわ」

カレンの澄み切った、輝きに満ちている瞳には、一点の曇りや濁(にご)りはなかった

「そうか…ならカレン、俺についてこい!」

それ以上何を言う必要もなく、間髪(かんぱつ)容(い)れずに答えが返る

「はいっ!」

嬉々として弾(はず)む声が凛(りん)と響く

カレンのゼロに対する忠誠は、いつもとまったく同じ態度だ

久しぶりにそれに触れて、ルルーシュの心も静まる

この混沌を、苦しみもがく世界を、ルルーシュは愛しいと思った




大気圏離脱用のブースターを装着したアヴァロンが、波を蹴立(けた)てて発進していく

白亜(はくあ)の巨艦は、艦首を上げて上昇姿勢を取る

次の瞬間、ブースターが点火し、途方もない加速で、宇宙を目指し飛び立った




「ルルーシュ、発進する。いいね?」

スザクが最後に呼びかけると、艦橋(ブリッジ)にいるルルーシュが「ああ!」と応じる

続いて、スザク同様、カタパルトに着いた機体の中にいる、心強い仲間にも声をかけた

「カレン!」

「わかってる、行くわよ!」

躊躇(ためら)いや、揺れ動く迷い、今の自分に不必要なものは地上にすべて置き去りにし、カレンは決然と締め括(くく)った

何かを吹っ切ったようなカレンの声を聞き、スザクは頷(うなず)く

前方のハッチが開き、ランプが灯(とも)った

「枢木スザク、ランスロットアルビオン…発艦!」

スザクは叫び、機体を漆黒の闇に躍(おど)らせる

「紅月カレン、紅蓮聖天八極式…出る!」

続いてカレンの紅蓮聖天八極式も発進した

強烈なG(重力)が体をシートに押しつけ、胃を押しひしぐ

無数の光芒(こうぼう)が真空の闇を穿(うが)ち、消えていく

カレンが左右のビーム砲を前方に向け、スザクがアルビオンに搭載された、すべてのミサイルポッドを開く

紅蓮聖天八極式の放った閃光が次々とナイトメアの頭部や武装を貫き、ミサイルが2機の全周囲を舐(な)めて、百を超える炎の花をいっせいに咲かせる

最大加速で敵戦線に向かう彼等の眼差(まなざ)しの先には、3本のリングが周囲を取り巻く、巻貝の形に似た巨大構造物があった



星々の海へ跳んでいく



(旅立ちの朝が帰還の夜を忘れる日)









本編に全力で反逆中という訳で……

思いっきり捏造してます

これも最終回前に仕上げたくて、どんどん書いてたら

いつの間にかこんなに長くなりました(滝汗)

紅蓮聖天八極式とランスロットアルビオン

てっきり最終決戦は宇宙だと思ってました

ほら、新OPでフロートユニットがグレードアップしてたじゃないですか!

ランスロットと紅蓮は宇宙仕様になるのかと思い、内心ワクワクしてました

スザカレ共闘期待してたのに…

次回予告では、紅蓮で皇帝ルルーシュを攻撃しようとしてたし

残念でなりませんよ、本当に









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