描かれた追憶
※対談ですが会話文のみ
「初めましてソーマさん」
「初めまして、ナナリー」
「今回お話させて頂くことになりました。よろしくお願いします」
「こちらこそ…よろしくナナリー」
「ソーマさんのファミリーはネームはスミルノフって言うんですね」
「ええ。私の養父、セルゲイと同じファミリーネームだから」
「養父?」
「養父(ちち)の好意でね…、養子縁組させてもらったの」
「そうだったんですか」
「私には親がいなかったから、最初はかなり迷ったけど……嬉しかったわ」
「セルゲイさんはソーマさんにとって、どんな方ですか?」
「温厚で気の利く人ね。ロシアの荒熊って呼ばれてるけど、優しい養父なの。私も見習おうと思ってる」
「へえー…私のお父様とは大違い」
「ナナリーには血の繋がった父親がいるの?」
「はい。髪型がロールケーキで、ブリタニアと言う世界の三分の一を支配下に置く帝国の皇帝で、総勢百人の皇妃を手玉に取った浮気性の父がいます」
「そ、そう…。いろんな意味で最強の父親ね」
「私自身、そう思います」
「そう言えばナナリーには、父親の他に兄上がいるらしいけど…」
「ルルーシュお兄様のことですか?」
「ルルーシュ、変わった名前ね」
「フランス語で女性を指す名前らしいです」
「なるほど。どうりで聞き覚えがないはずだわ」
「お兄様はとっても優しい方です。私が脚の自由と光を失った時、私の代わりに僕がナナリーの目と足になるよ、と言って下さいました。この間の誕生日には手作りのケーキやマロンパイも作って下さったんです」
「ルルーシュって……それほどまでナナリーに尽くしてくれるお兄さんなの?」
「ええ、いつも私のことを気にかけて下さって…。困った時はお兄様が真っ先に私の元に駆けつけて下さってました。私は……大好きなお兄様に守ってもらってばかりでしたから」
「聞いたわ。幼い頃、何者かに母親を暗殺され、留学生と言うのは建前で、実質人質として日本に送られたそうね」
「はい、お兄様は食事も掃除も洗濯も、すべて一人でこなしてました」
「もしかして、今も家事が得意?」
「ソーマさんの言われる通り、今もお兄様の得意分野です」
「素敵なお兄さんを持たれるナナリーが羨ましい」
「でも…私がお兄様にしてあげられることって、何もないんです」
「…ナナリー」
「だから、最近はお兄様と一緒にいるのがちょっと辛くて…」
「何も出来ない自分が歯痒くて、悔しいの?」
「はい……大好きなお兄様に何もしてあげられなくて」
「ルルーシュお兄さんは、純粋なナナリーのその気持ちだけで、十分嬉しいと思ってるはずよ」
「私は…お兄様にとって、足手まといにしかならない妹なのでしょうか?」
「それはないわ、有り得ない!」
「え?」
「大丈夫よ、ナナリー。貴方はルルーシュの重荷になんてなってない!それだけは私が保証する」
「どうして……そう言い切れるのですか?」
「俺がナナリーの存在に、心救われているからだよ」
「おっ…お兄様!?」
「ナナリー。お前がいてくれたおかげで、生きた屍だった俺は今日まで生きて来れたんだ」
「お兄様…!でも、私はやっぱりお兄様の足を引っ張ってしまうばかり……」
「構わないよ」
「えっ……」
「日本に着いた時、俺がナナリーの目と足になるって約束しただろう」
「お、お……にい……さ…」
「だから、ナナリー」
「……っ!」
「悲しくなるようなことを言わないでくれ。俺は…ナナリーの存在が足手まといだなんて思ったことは、一度足りともないよ」
「はい…っ!お兄様」
「兄妹愛って…いいものね。超兵になって初めて実感した気がする」
「ソーマ、ここにいたのか」
「大佐……じゃなかった!えっと、とっ…父さん」
「焦ることはない。ゆっくりで構わない」
「はい、ありがとうございます」
「家族なんだ。敬語はやめないか?」
「すみません。ついくせで…」
「まあいい、ところであの抱き合ってる二人は誰なんだ?」
「右にいるのがルルーシュで、車椅子に座っている少女がナナリー。お互いを大切に思ってる、仲の良い兄妹です」
「ソーマの知り合いか」
「はい」
「つくづく家族というものは……いいものだな」
「大佐の言われる通り。私も父さんの娘になれて、本当に嬉しく思います」
「ソーマ……」
「こんな私でも、人並みの幸せを手に入れることが出来た。ありがとう、マリー」
描かれた追憶
(色褪せた烏賊墨色から、過去を浄化した未来への憧憬が見えてくる)
ジャンル混合でランペルージ兄妹とセルソマ親子
烏賊墨色はセピア色のことです
テーマはズバリ家族愛
マリーはソーマの深層意識の中にいる設定
ルルーシュは事前に盗聴器仕掛けておいて、ソーマとナナ嬢の会話を影でこっそり聞いてました
誕生日の元ネタはランペルージ一家生誕企画の話の内容から
お題拝借、9円ラフォーレ様
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