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何を言っても届かない




警告!

ギアス最終回ネタバレ要注意、SSSログ












目をうっすらと開き、虚(うつ)ろな眼差しでどよめく周囲の罵声(ばせい)を耳にする

「お兄様」

囚人服を纏い、鎖に繋がれたナナリーは、血まみれの兄の元へ、よく動かない足を一生懸命動かしながら這(はいず)り、ルルーシュの手を握る

「お…にい、さ、ま」

手を握るだけで、相手の心理を理解することが出来るナナリーは、過去の記憶を辿(たど)った

「正義の味方、ゼロとなったお前が俺を討つ。それがゼロレクイエムだ」

「この剣で悪逆皇帝ルルーシュを討ち、僕は正義の味方となる」

「全て俺のシナリオ通りに世界は変わる。これで晴れてゼロレクイエムの完成だ!」

満足げに微笑むルルーシュは、スザクに正義と自由と言う名の剣を手渡す

「ルルーシュ」

「スザク…俺がお前の名を呼べるのも、これで最後だな」

彼の目には、見覚えのない暗い色が漂(ただよ)

「本当にこれで良かったのかい?」

「ああ……」

自分の知らない時間に、彼の心が彷徨(さまよ)い出るのを感じる

「君は幸せ者だよ、ルルーシュ。自らの野望を果たせるんだから」

「そうとも、俺は幸せ者さ」

スザクはいたわりと同時に取り残された気分を味わう

「最後に…ひとつだけ頼みがある」

「なんだい?」

「ナナリーを………頼む」

今に至った経緯(いきさつ)を知ってるからか、スザクは後ろめたいような、もの悲しい気持ちになる

「僕が…ナナリーを?」

「俺じゃ……もう、守ってやれないから」

ルルーシュは自責の念に顔を歪ませる

「枢木スザクとして守ることは死ぬまで出来ない。でも、ゼロとしてなら守ることが出来る」

「どうか…ナナリーを幸せな世界へ導(みちび)いてくれ」

「わかった…!」

さっき見た記憶の数々が蘇(よみがえ)り、ナナリーを打ち据(す)える

「そんな、そんな…ッ!」

誤解と悲嘆が体のうちを渦巻く

「ナ、ナリー……」

それは

――まるで

湖面のざわめきを時が静かに

深く飲み込んでいくような

「お、兄様…?」

ナナリーはルルーシュを抱き、白い顔を幾筋(いくすじ)もの涙で濡らしている

「ナナ……リ……愛……て……る……」

小さく囁(ささや)き、それきりルルーシュは、目を閉じた

「いやあぁぁぁ!!ルルーシュお兄様ーーー!!」

ナナリーは声を限りにその名を呼んだ

だが、目を閉じた白い顔は2度と動かない

痛恨の思いが呻(うめ)きとなって、食いしばった歯の間から漏れる

ナナリーは自分の不甲斐(ふがい)なさを呪って慟哭(どうこく)した

(こら)えていた熱い涙が溢れ出し、嗚咽(おえつ)が喉の奥から迫(せ)り上がる

夕顔の花のように儚い兄の死に顔を前に



を言ってもかない



(「愛している」と君が鳴く)









ランペルージ兄妹に始まり、最後はやはりランペルージ兄妹で終わりました

ルルとスザクはナナ嬢が生存してるのを既に知っている設定です

きっと、死後…ルルーシュの元に

天使になったシャーリーが迎えに来てくれて

「頑張ったね、ルル」って褒められながら

天国でロロやユフィと幸せになると思ってます









お題拝借、闇に溶けた黒猫様


あきゅろす。
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