海に臆した人魚
警告!
ギアス最終回ネタバレ要注意、SSSログ
お兄様がいて下さったから私は此処まで来れた
お兄様が、人の優しさや温かさを教えて下さったから、私も優しくなれた
お兄様が、温もりや愛情を注いで下さったから、私はこんなにも普通の幸せを感じることが出来た
少なくとも、私にはお兄様さえいて下されば、それで十分幸せでした――
「お兄様、人魚姫をご存知ですか?」
「童話の?ああ、知ってるよ」
今日は休日で学園も静寂に包まれている
ルルーシュとナナリーはテラスに出て、二人だけのお茶会を楽しんでいた
「人魚姫はなぜ王子様を殺(あや)めることが出来なかったのでしょう?」
眉を顰(しかめ)たナナリーが、不思議そうに聞くものだから、ルルーシュはこう答えた
「それは…きっと心から王子様を愛していたからじゃないかな?」
「愛して、た…からですか?」
ルルーシュは、人一倍慈愛を持ったナナリーを優しく諭(さと)す
「ナナリーは王子様が死ぬのと、王子様が幸せになるのならどっちがいい?」
「幸せになる方です…!」
「きっと、そうゆうことなんだよ」
だがナナリーには、素直じゃないルルーシュが伝えたかった本音が、よく伝わっていないようだった
「俺が王子様だとして、俺が死ぬのと幸せになる。二通りの選択肢があるとする。ナナリーなら、どっちを選ぶ?」
「勿論っ!幸せになる方です!」
切羽詰まったナナリーは、声を張り上げる
「自分は泡になって消えるとしても?」
「はい、それでもいいです。お兄様が幸せになれるのなら」
「人魚姫も…同じ気持ちだったんじゃないかな」
目が見えないナナリーだったが、なんとなく大好きなルルーシュが微笑んでいるように思えた
「やっとこのお話のテーマが理解出来ました。ありがとうございます、お兄様」
「どう致しまして」
ルルーシュの思いが少しでもナナリーに伝わったかと思うと、ルルーシュ自身も笑っていられる
「ナナリー」
「何でしょう、お兄様」
「この話にはもうひとつ違うエピソードがあるんだ」
「えっ!?そうなのですか?」
「王子様が海に飛び込もうとする人魚姫を止めて、隣国のお姫様との婚約を解消して、晴れて結婚する話があるんだ」
ナナリーはパアッと顔を輝かせ
「じゃあ…人魚姫も幸せになるんですね」
「そうだよ。今までの努力が報われたんだ」
満足気に微笑むナナリー
よほど嬉しかったらしい
「今まで頑張ったナナリーも幸せにならないとな」
「その時は……お兄様も一緒ですよ」
「俺に幸せになる資格があるかな?」
「あります!当たり前じゃないですか」
と、柔らかい口調でナナリーが正論を言ったら、ルルーシュはちょっとだけ赤くなって
「ありがとう。愛してるよ、ナナリー」
と、言ってくれたので、ナナリーは本当に嬉しげに微笑んでいた
「私も。世界中で誰よりもお兄様を愛しています」
約束して下さったはずなのに
どうして優しい世界にお兄様がいないの?――
海に臆した人魚
(この声を捨てたら、私の願いを聞いてくれますか?)
最終回、ちゃんとリアルで観ましたよ
詳しい感想は、もう少し気持ちが落ち着いたら日記に書きます
ルルーシュ、ナナ嬢…
なんでこうなるのォ?!
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