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わたしの恋心は冬眠するそうです




「宇宙(ソラ)で待ってて。すぐに追いつくから」

そうは言ったものの、そう簡単に追いつけるわけがない

「…沙慈」

どうしてこんな風になっちゃったんだろ

パパもママも、親戚の人達もいなくなって

「宇宙で働きたい」って夢を持っている沙慈を送り出して

当たり前のように動かしていた左手を、私は永遠に失ってしまった

学校へ行って、テスト勉強して、休日は沙慈に買い物に付き合ってもらって

本当の恋人同士みたいで、なんかワクワクして

それらの記憶は到底否定出来ない質感と感情を伴(ともな)い、ルイスの脳裏に刻み込まれていた

いつも通りの変わらない日常

今頃も平和に暮らしてたはずなのに

ガンダムの介入さえなければ

「……どうして」

ソレスタルビーイングが狂わせた

自動ドアが開く音がしたので、ルイスは慌てて涙を拭(ぬぐ)

看護師か医師が様子見に来たのだろうと思っていた

見舞いに訪れてくれる来客はいないに等しい

「ルイス・ハレヴィ、だね?」

目の前に立っていたのは、くせのある紫色の髪を靡(なび)かせ、眼鏡をかけた中性的な人だった

「初めまして、僕はリジェネ・レジェッタ」

リジェネと名乗る人物は、物腰が柔らかで、突然の来客に緊張しているルイスに握手を求めてくる

「リジェネ…レジェッタ?」

(そんな人、パパやママの知り合いにいたっけ?)

「ルイス、僕と一緒に来ないかい?」

「えっ」

うろたえるルイスにリジェネは、重い警戒心を解(ほぐ)すよう真実を伝える

「君も僕達の仲間の一員なんだよ」

「な…かま…」

「そう、だから一緒に行こう。ルイス」

右手を差し延べるリジェネを見、ルイスは一瞬顔を強張(こわば)らせた

「安心して。僕はソレスタルビーイングじゃない」

このままスペインの病院にいても何も変わらない

なら、私に残された選択肢は限られている

宇宙へ行かなきゃならない

全てを失っても私はまだ辛(かろ)うじて生きてる

それに沙慈との約束も叶えに行きたい

「分かったわ。貴方についてく」

ルイスは微かな親近感を覚えながら、口許(くちもと)をしならせ笑うリジェネの手をとった

奥底に秘めた恋心を封じてでも

私は私の道を歩いて行く



わたしの心は冬眠するそうです



(嗚呼けれど、本当は)













































リジェネはどうやって宇宙(ソラ)までルイスを連れて来たんだろう?という妄想から生まれたネタ

沙慈と会えずルイス死亡フラグが…

怖いよー!心臓に悪いからやめて

波乱に満ちた沙慈ルイの行方も気になってます



お題拝借、闇に溶けた黒猫・液体窒素と赤い花様



あきゅろす。
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