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それはほのかな幸の歌




頬にキスをされ、思わず照れてしまうマリナ

「俺と踊ってくれないか?」

刹那も顔を赤らめ、愛しのシンデレラに右手を差し延べる

「私で……いいの?」

「シンデレラだから踊りたいんだ」

「ありがとう、魔法使いさん」

シンデレラは迷わず刹那の手を取った

「でも…」

シンデレラは魔法にかかり時間を止められた、固まったままのグラハム王子を心配そうに見つめる

「王子は放っておけ、そのうち魔法は解いてやる」

刹那はシンデレラと違い、怪訝そうにグラハムを見つめた

「ビリー・カタギリ。お前には話が通じると思って、魔法をかけなかった。悪いが出て行ってくれないか?」

部屋の隅に隠れ、成り行きを見ていたビリー

「はは、わかったよ」

刹那は、人慣れぬ野良猫のような目でビリーを睨(にら)んでいる

「そこにいる王子も忘れるなよ」

「僕が王子を担(かつ)ぐのかい?」

「そうだ、俺達の邪魔をするな」

「わかったよ。じゃあ、邪魔物は退散させてもらうとするよ」

「変態王子と違って話が通じて助かる」

そして、ビリーは変態王子グラハムを担ぎ、屋敷の外へと立ち去った

「シンデレラ」

「あ、はいっ!」

刹那に話しかけられ、シンデレラは我に返り慌てふためく

「邪魔は追い払った。周りを気にする必要もない」

誰かに見られながら愛を育(はぐく)むのは、さすがの彼女も落ち着かない

シンデレラはホッと胸を下ろす

「そうね、刹那」

「続きだ」

魔法使いである刹那は、先端に黄色の星がついた魔法の棒をひと降りし、狭(せま)くみずぼらしい部屋をリッチなダンスホールへと変えた

「すごい…!」

感嘆の声を上げるシンデレラ

「これくらい朝メシ前だ」

喜ぶシンデレラを見て満足げな刹那

「後は、シンデレラのドレスだな」

「刹那。私……これがいいわ」

シンデレラはおもむろに、懐(ふところ)から隠しておいた通販のカタログを取り出す

「それ、どこで入手したんだ?」

「ティエリアお姉様のお部屋にある、ドレッサーの引き出しからよ」

(ティエリア・アーデ…やっぱりそういう趣味があったのか?)

ティエリアはシンデレラの義姉

次女のティエリアは、態度こそツンデレながら、シンデレラのことを目の中に入れても痛くないほど可愛いがっていた

ティエリアはシンデレラが放っておくことが出来ず、変な虫がつかぬ様、常に目を光らせていたという噂も聞いたことがある

ドジっ子で勘違いしやすく、オロオロする妹のシンデレラが可愛くて仕方ないらしい

シンデレラに危害を加える男がいれようであれば、自ら出陣して、立ち上がれないぐらいボコボコにするであろう

とにかく、ティエリアの妹に対する執着心は異常である

未だにティエリアが男か女か、区別がつかない刹那なのであった

「刹那?」

「ああ、済まない。シンデレラのドレスを決めるんだったな」

いくつかあるカタログをパラパラめくる

「カタログから選ぶのか?」

「私のイメージに近いドレスを選びたいの」

「わかった。シンデレラの意見を尊重しよう」

「ありがとう、刹那」

シンデレラが刹那だけに微笑んでくれてる

(…好きだ、シンデレラ)

彼女の笑顔がさらにまぶしく輝いて見えた

「どれにしようかしら?素敵なドレスがたくさんあり過ぎて……正直迷ってしまうわ」

鼻歌を歌いながら、楽しそうにドレスを選ぶシンデレラの姿を、不覚にもほほえましいと感じてしまった

恥ずかしいから、本人の前では絶対に言わないが



それはほのかな幸の歌



(夢心地、でもこれは夢なんかじゃない)








シンデレラパロの刹マリです!

何げに45番目の記事の続きだったりします

(詳しく知りたい方は、SSS内の43〜45番の記事を参照して下さい)


運命の恋に溺れる刹マリ

今のところ、刹那の方がマリナに惚れてます

数々の童話の中でも、シンデレラは特に好きな童話なので楽しく書けました

ロマンチックとギャグをほどほどに取り入れながら頑張ります


マリナさんを刹那に惚れさせる場面が書きたいです

どうゆうシチュエーションにするか妄想中です

このサイトでは本編とは違い、多くの刹マリファンの皆様に「ラブラブな刹マリ」を、お送りすることをお約束致します(笑)


続きも何かしら反響がきたら書きますね












お題拝借、ニルバーナ様



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