噛み合わない足し算
※SSSログ
初めて彼を見た時は、正直驚いた
ロックオンが生きていてくれた
私が好きな彼が帰って来たのだと思った
「ロックオ…」
「誰だ?」
胸奥がズキンと痛んだ
「え……」
刹那は目の前にいるロックオンに対して、私のコードネームを紹介した
「管制担当のフェルト・グレイスだ」
まるで初対面かのように
「フェルトか、俺はロックオン・ストラトスだ。よろしくな」
困惑するフェルトに、事態を察した刹那が、すかさず説明し始める
「フェルト。ロックオンの本名はライル・ディランディ」
「ライル…ディランディ?」
「ニールの双子の弟だ」
ニール・ディランディ
展望室で話してくれたロックオンの本名
弟がいるなんて知らなかった。しかも双子の
「ロックオン…」
「生き残れよ」と、私を励まし、そばにいてくれたニールはもういない
「フェルト?どうかしたのか?」
ニールとライル、そっくりで見分けがつかない
「…フェルト。このロックオンはライルだ。ニールじゃない」
刹那がそう言い聞かせたのは、彼自身も“ニールの死”に対して私と同じで思い悩み、心の整理がつかなかったから
「……わかってる」
でも、違う
見た目は同じでも明らかに違う
「初めまして、フェルト・グレイスです。よろしくお願いします。ロックオン・ストラトス」
フェルトは割り切ろうとしていた
「ああ…よろしくな、フェルト」
でも、それはなかなか難しく出来ないでいた
周りを気遣い、飽かず眺めてきたニールの笑顔
泣いているフェルトの手をそっと握り、優しく微笑んでくれたニール
どうしてもニールとライルの姿が、フェルトの中で重なり合ってしまう
精密な機械の情報処理の仕方は、プログラムがあって、その方程式通りに計算すると、正確に答えが当て嵌(は)まる
フェルトは笑みを消し、不安げに眉を潜(ひそ)めた
――心の奥の隙間にぽっかりと空いた、言いようのない懸念(けねん)はなんなの?
固く閉じた瞼(まぶた)にうっすらと涙が滲んだ
噛み合わない足し算
(死がわたしの胸を締め付けるように)
一応…ニル←フェルのつもりです
次回予告で、ライルを見たフェルトが驚いた表情をしていたので
そこから妄想して生み出した産物です
フェルトがライルの姿をニールと重ねてくれるといいなー!
と、いう管理人の願望がめちゃくちゃ出てますね
逆にライルがフェルトのことを気にしてくれるのもいいかも
お題拝借、闇に溶けた黒猫・9円ラフォーレ様
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