流した涙で溺死する
※ＳＳＳログ
ダブリンから遠く離れた、山間の集合墓地
灰色に垂れ込めた空と、周囲を囲む山々
雪が無数の白い花びらを散らす
「お久しぶりです。ロックオン」
喪服姿のティエリアは、小さな墓に花を供える
「まさか、俺が貴方の墓参りをする為にアイルランドに来るなんて…」
雪まじりの風がティエリアの頬を冷たく揺らし、ニールの墓に目を落とす
「思ってもなかったですよ」
ティエリアは墓に向かって淡々と言葉を続ける
――ねぇ、ロックオン
―――あの時の俺達の剣ときたら
笑ってしまうくらい、とことん無力でしたね
理屈を超えた悲しさが胸に溢れ、ティエリアの目には涙が滲（にじ）んでいる
ただ、無くしてしまっただけだ
この手から全てが
零れ落ちていってしまっただけだった
何一つ掴めず
―――何一つ、守れないままに
彼の頬を伝い落ちる涙を拭（ぬぐ）ってくれるニールはもういない
自分が望む未来は自分の剣で手に入れる
「それなのに……貴方ときたら」
取り澄ました表情で
「何故、自分が生きる為に戦わないッッ！！」
表面上は涼やかな声だが、心では、頑（がん）とした怒気を含ませそう言い放つ
何も知らなかった自分の愚かさが、今になって悔やまれる
貴方の命だけは――
俺が掴みたかった
流した涙で溺死する
（吐くならどうか笑える嘘を）
と言う訳で…ロックオン（ニール兄さん）大好きなティエ様でした
ロク←ティエはもはや公式ですね
ニール兄さんは、本当に優しい人だったから自分の幸せより、ライルの未来を優先しました
でもティエ様は、兄さん自身の幸せ（兄さんの望む未来）の為に戦って欲しかったんですよ！
お題拝借、闇に溶けた黒猫様
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