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失わなくてはならない君

※FF7でエア←クラ









エアリス

俺はやっと気付いたんだ

俺が愛しているのはお前だけなんだ

だからどうか

俺の前から離れないでくれ

俺の前から

消えないでくれ



「エアリス」

俺は一体何をしようとしたんだ?

その柔らかな肢体(したい)を刺そうと

その桃色のワンピースを血染めにしようと

殺そうとしたのか?

エアリス――

体から呪縛が解け、意識を取り戻しお前に手を伸ばそうとする

その瞬間




エアリスは

長い刀に胸を貫(つらぬ)かれていた

ふと、真後ろにいた人物をを見上げる

――セフィロス

お前、なのか

エアリスから

命を奪ったのは

殺したのは

お前…

殴りかかろうとし右手で拳を振り上げた

すでに、セフィロスは上空に飛び去り消えていた

悔しさで歯軋(ぎし)りをしてしまう

白い壁にだらんと寄り掛かるエアリス

その姿はまるで、壁に頭をもたせかけて眠っているかのようだ

エアリスにそっと駆け寄り体を抱き留める

体温がなくなっている

あたたかいぬくもりが消えていく

イヤだ

自分の胸が抉(えぐ)られるように軋む

だめだ、エアリス

ティファとユフィがエアリスの変わり果てた姿を見、体を震わせている

ユフィは涙を堪(こら)え、物言わぬエアリスを揺さ振る

「エアリスッ!」

だが、いくら揺すってもエアリスからの返事はなかった

茫然と立ち尽くすことしか出来なかった

この現実を、脳が認めることを拒んだ

死ぬな、死ぬな、死なないでくれ

俺を一人にしないでくれ

胸から血が滴(したた)り落ちる

頼むから

目を覚まして

笑顔で振り向いた君を

ずっと感じていたいんだ

どうしようもないこの喪失感をどうすればいい




たまらず自分の懐(ふところ)にエアリスを抱き締めながら唸(うな)り声を上げた

やり場のない憤(いきどお)りにその身を焦がしながら



失わなくてはならない君



(エアリス、どうして君なんだ)


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