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3 風に揺れる髪


遊星の髪は強靭無敵最強だ。
突風が吹こうとも嵐が来ようともハリケーンが来ようとも竜巻が(ry
何はともあれ奴の髪は跳ねる。重力に逆らいすぎて突っぱねている。
それがなんだか海にすんでいるあの甲殻類を彷彿させずにはいられない。
あれはあれだ。茹でたら赤くなる奴だ。
そう思っていた矢先。とある事件が起きた。
それは俺がいつものようにアンティルールのデュエルで勝利を収めていた時だった。
アンティルールのデュエルをするにあたって、当然それなりの場所とそれなりの人、まぁつまりはごろつき様御一行がたむろするところに行かなきゃならない。
子供のラリーや一般人に過ぎないブリッツ達には荷が重過ぎる場の空気に触れさせなくて、俺はここに来ていることをあいつらには話していなかった。
薄々大人組は気づいていたようだが暗黙の了解といったところか、特に俺に言うことは無いらしい。
それが、今日。
白い(だがスモッグのお陰でささやかにくすんでいるが)コートをはためかせ、岐路に着こうと踵を返した時だ。
奴が、遊星が目の前に突っ立っていたのだ。
誰だ。教えたのは。
とっさにタカの顔が浮かぶ。アイツ、食い物に釣られたのか。くそ。
ち、っと軽く舌打をすれば、遊星が尾行したら、ここに着いたと自ら白状した。
なんだ、タカじゃ無かったのか。大して悪びれもせず心の中ですまんと誤った。
遊星を見ればこちらを依然と不躾な眼を寄越してくる。
なんだその目は。文句があるのならいってみろ。
言ってみるだけはタダだからな。
俺が聞いてやるかは別の話だ。
密かにファイティングモードに突入しつつあった俺は、俯いた遊星の突如繰り出す昇●拳に冷や冷やしながら(あくまで若干、だが)時が過ぎるのを待った。
と、ここで俺は一瞬何が起こったかわからなくなる。ドン☆ないし、なんだ?俺の脳は働くことを止めた。
瞳は相変わらずソレを移すものの、脳が判断できていない。
ん?・・・えぇい!そんなことがあってなるものか!キングは脳すら支配できるのだ!
自分に言い聞かせ、なんとか復興作業に勤しんだ結果、見えたのはこれだった。
遊星の、髪が重力に逆らっていないではないか!
強靭無敵最強で、突風が吹こうとも嵐が来ようともハリケーンが来ようとも竜巻が(ry
何はともあれ跳ねるあの髪が!普通のことと言えばそうかもしれない。
だが、考えてみろ!遊星の髪が、だぞ!奇跡に近い現象を目の前にして、俺は開いた口が塞がらなかった。

「・・・ジャック」
「な、何だ遊星」

いつもと違う遊星は、俯いたまま声を出した。なんだか赤の他人と話をしている気分になる。

「俺は、悲しい」
「・・・は」
「危ないことばかり、悲しいと言っているんだ!」

顔を上げた遊星は垂れ下がる髪も気にせず、俺を睨んできた。
睨んだといっても、その蒼穹は海に侵略されてしまったのか半分と言わず飲まれていた。
思わず俺も言葉をなくす。いつも無口で何を考えているのかわからない遊星がこんなにもわかりやすく、半べそをかきながら俺を見ている。
不思議な光景だった。
髪の毛も不思議だっが、俺は遊星の全てが不思議ちゃんに見えて仕方なかった。
なんとなく、そうなんとなくだが、俺が悪いことをしたということはそれから10分、いや15分ぐらい過ぎてわかった。

「・・・すまん」
「・・・今度は俺も連れてけ」
「だが」
「連れてけ」
「・・・わかった」
「約束したからな、ジャック」

渋々、半ば強制的にそれを承諾した俺を見、遊星は満足したように小さく微笑んだ。微笑んだ、と言ってもささやかなものだったが。
ここで安心したのか、遊星の髪はまた重力に逆らいだした。
むくむく、起き上がる。こいつら、絶対に意思があるだろう。
本体、遊星の感情の起伏によって左右されるとでもいいたいのか。なんて。
――馬鹿らしい。
超常現象を目の前にしてどうにでも良くなってきた俺は、そいつら、遊星の髪をぐちゃぐちゃに掻き回すと、帰るぞ。と一言告げた。
髪の毛は相変わらず、重力に逆らっていた。


end.


4 柔らかそうな唇


遊星「ジャック、キスしていいか」
ジャック「断る。ラリーとでもしてろ」
遊星「俺はショタコンじゃない」
ジャック「ロリコンだろう」
遊星「どちらでも・・・無い?」
ジャック「なぜ語尾を疑問系にしたし」
遊星「とにかくヤらせろ」
ジャック「おい、話が摩り替わってるぞ」
遊星「さぁな」
ジャック「顔が近い、寄るな」
遊星「いい匂いだな、興奮する」
ジャック「お前っ・・・っどこ触っアッー」


ラリー「あんたら他所でしろよ」

end.



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