過去拍手3 5 その、心 綺麗な人間ほど実は内心醜い疑心に包まれていることが多い。 それは周りのせいでもあるし、それに負けてしまう自身も悪い。 誰にも屈せず、逆境を跳ね除けたもののみ、本当に美しいものというのだ。 「・・・・・・。」 ここまで読んで、俺は静かにジャックの背中を振り返った。 もしかすると、もしかするのか。 パソコンの内容をもう一度読み直し、またその広い背中を見つめる。 繰り返しその作業をして、なんとか飲み込もうとする。 そうか。そうなのか? 「っだ――!!」 「なんだジャック、いきなり吼えて」 内心ものすごく驚いたが、さして顔に出さずジャックを見返す。 鉄面皮の凄さを思い知れ。 ジャックはそれに更に腹を立てたようであのな、と続けた。 「お前のようなデカい目で背中に穴が開くぐらい見つめられれば嫌でも気付く!なんだ!何か言いたいことでもあるのか!」 「いや、別に・・・」 「別にならそんなじろじろ見るもんじゃない」 「・・・・・・」 相変わらず恐ろしく感嘆符の多いジャックに感心しつつもとりあえず答える。 答えになっていない答えを返す俺に対し律儀にこういうことをいうジャックにちょっと関心する。 俺だったらだんまりだ。 あ。 「そうか・・・」 「ん?なんだ、わかったのか」 「ああ」 わかった。だからか。 やっぱりそうなんだな。 そう、ジャックは、 「ジャックは綺麗な人間だな」 「・・・・・・っ、」 今度はジャックが閉口する番が来たようだ。 end. [*前][次#] |