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おはなし
はじまり(ル次初め。ル視点)


最初にあいつについて気になったのは、あいつの好きな酒だった。
ひょんなことからのこのこ付いてきて、勝手に相棒なんて名乗りだしたあいつ。

バーボン、バーボン、バーボン。

いつの間にかアジトに溢れていく空の酒瓶が妙に気になった。


次に気になったのは、あいつの吸ってる煙草だった。
あいつがいない部屋で、其処ら中に染み込んだペルメルの匂いを嗅いだら、何だか胸が掻きむしられるような気分になって、俺はたいそう苛ついた。
あんまりむしゃくしゃしたんで、あいつのいつも被ってる帽子を出してきて、俺はその縁にワルサーで一発穴を空けてやった。

硝煙が昇る小さな穴を見ると、少し満たされる気がした。

後から帰ってきたあいつが文句をだらだら垂れるのを聞いて、その日は終わった。

最後に気になったのは、あいつの昔の相棒だった。
あいつが、ちょっと知り合いに会うって言って、いきなり俺の所から出ていくから。
それでいつまで経っても帰ってこなくて、俺は柄にもなく苛々が溜まって、爆発しそうになったから。

だから、あいつがボロクソになって帰ってきた朝、俺はベッドにあいつを突き飛ばして、そのまま覆い被さった。

暑くて、熱くて、どろどろとした時間だった。
その時のことはよく覚えていない。

ただ、気が付いたら太陽が西に傾いていて、裸で寝ていた俺の隣に同じく裸でぐちゃぐちゃになったあいつがのびていた。

あいつの寝顔をみて、痕をみて、俺はひどく混乱した。
おかしくなってしまった頭を抱えて、呆然としていたところに、あいつがふと目を覚ました。
ぼうっと俺を見つめる黒い瞳に、俺の口が勝手にぱくぱくと動いて、「運命だよ」と無意識に呟いた。

するとあいつは、暫くぽかんとした後、「そうか」と言って、何故か納得したような様子で毛布にまたくるまった。

俺は毛布を握るあいつの手ほどき、あいつの唇にそっとキスをした。だんだんと激しくなるそれに抵抗する訳でもなく、あいつはそのまま瞳を閉じた。



それが、はじまり。






馴れ初めというよりル次初め。

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あきゅろす。
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