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おはなし
踊る(いつもの3人。五視点)
擦りきれたレコードの音色は途切れかけていた。しかし黒いガンマン−次元はその旋律をとうに覚えているらしい。拙者の身体を回し、無感動に肩を抱く。
拙者は西洋の踊りに慣れていない。だから次元の導くがままに、無表情に回った。音楽が自分たちに追い付こうと必死で追う。拙者と次元に合わせて、音楽が奏でられた。

赤い大泥棒−ルパンはそれが至極面白いらしい。雑然としたアジトの一角で、床板を軋ませながら踊る二人の相棒が。口角を吊り上げ、時折ポンコツのレコードを蹴りとばした。
ああ、そういえば踊ることを命じたのはルパンだったか。今度の仕事、潜入、ダンスパーティー、踊りの特訓。ルパンの言葉はあのレコードのように曖昧だったが、どうでもいいことだ。拙者は仕事の快感があればいい。そのためにまた何かを身につけなければならない。分かりきったこと。もうとっくに身に染みている。

ふと、次元を見る。
この男は最初に会った頃よりも少し顔色が悪くなった。酒に煙草、鉛玉に血を塗り重ねていく次元は、いずれその身を漆黒にするに違いない。

「何だ、俺の顔になんかついてるか」

「次元、また酒の量が増えたようだな」

「けっ、酒で死ねれば本望さ」

「相変わらずのことだ」

クックッと、次元は獣に似た笑みを浮かべる。



肩を揺らしながら、拙者はいつぞや飲んだ珈琲なるものを思い出した。
黒い黒い液体に、牛乳や砂糖などを入れて飲む。ルパンと次元が美味そうに飲んでいたが、あまり口に合わなかった。
この男は、いや、この男とルパンはまさに珈琲ではなかろうか。
拙者が此処に来る前は、きっと碗に入った珈琲の中は次元だった。ルパンに握られたさじで、ぐるぐると掻き混ざり、溶け、漆黒になった。
牛乳が混ざっても、珈琲が変わることはない。ぐるぐる、ぐるぐる、ルパンは機嫌良くさじを回し続ける。音楽がとうとう途切れても、次元は構わずまた拙者を回した。ぐるり、回る視界に、笑みをより深くしたルパンが見える。


「ほーんと、見てて飽きないねぇ二人とも」


ルパンの呟きは、音楽に掻き消された。






書いてる自分が一番意味の分からん文だと思った

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