To the flow at time 01話 =============== 第二章 あなたに捧げよう 終わり無き物など無い。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ その写真に写るは、笑顔の私と彼…キイだった。 無邪気に笑っている二人。 いつも二人は傍にいた。 …もう今はいない。 彼は、戦地へと向かった。 激戦区…生き残る可能性が最も低く、ほとんどが全滅する地へと。 何故彼がそこに行かなければならなかったのか。 死にに行くようなものじゃないか。 …だったら何故、彼はこの世に生を受けたのか? 終わりのみを待つために生まれてきたわけじゃない。 幸せになるために、いる。 信頼できる誰かと出会い、幸せを分かち合うために、いる。 「その誰か、が私であってほしい。」 そうぽつりと呟いた。 早く帰ってきて。 不安で胸が押しつぶされてしまいそうだ。 彼が帰ってきたら何を話そうか。 …一人で大変だったことを言うと、心配してくれるかな。 笑って「ただいま」と言ってくれるかな? まずは彼を抱きしめたい。 疲れ果てた彼を。 生きているという幸せを二人で分かち合いたい。 「約束してくれたもんね、帰ってくるって」 写真の中で眩しいくらいの笑顔を向けるキイに、言った。 二人して映っているその写真を収めたスタンドの前に、 小さな小さな飾り気のない小瓶があった。 その小瓶の中に半分だけ入れられた水が、カーテンの隙間から差し込む日の光に照らされ、輝いている。 その小瓶の中、もたれ掛かるように白い花が一輪、飾ってあった。 [next#] |