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To the flow at time
04話

ふわっと舞い上がることだけを考える。 
ユキはまた、逃げるように夢を見た。


…あぁ、見たくもない。
戦争をして森を消していく時代を見るたび、
ユキはまた次の時代へ逃げる。

どの時代も同じだ。
頭の何処かで当たり前だ、と悲痛な叫びをあげる自分がいた。

それでも、救いを求めるかのように、また、次の時代へと。

みるみる消えてゆくすべてが、元に戻ることなど…。
何処を見ても…同じことをやっていた。
ユキは無言になった。




        「…!!!」 

「…!」


「あれ…?」
何か、聞こえる。


   「…対…!」 

「…反対!!」
   

「戦争…反対だ!」


ユキは目を見開く。 
 …今、何て…?




“戦争をやめろ”彼らはそう叫ぶ。

 「戦争は無意味だ!!  すべてを失う。

 「話し合うべきだ!」   前へと進め。


最初はとても少ない声だったのが、
過去のすべての時代から響き出す。


拳を振り上げて、空を飛ぶ黒い物体へ、
大の大人達がみっともなく叫ぶ。
なりふり構わず叫ぶ。
涙を流し、それでも叫ぶ。

「罪無き者を殺すな!!」
焼け野原で一人泣く子供が叫ぶ。

「返して!母さん、父さん…」



かえして、たすけて、やめて、

あいたい、いきたい、


…もうやめよう。
こんなことがしたかったわけじゃない。
こんなけっかをもとめたわけじゃない。
こんな、こんなんじゃなかったんだ。

ほしかったものは、しあわせでした。
もとめたのは、へいわでした。

皆がそうなのに、何故こうなったんだろう…?


気付いたら 何もなかった何も 残りやしなかった
緑は 何処にいったの
焼け野原 命は何処にいったの


何も、残りやしなかった。

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