To the flow at time 02話 ユキは逃げるように浅い眠りについた。 仕事が出来なくて、体が弱いユキのただ一つの特技。 無意識状態になり、鳥のように羽ばたくことを思う。 すっと体が軽くなるような、不思議な感覚。 そして、次の瞬間には、見事なほどに緑生い茂る場所にいた。 空間にもう入りきれない、というほどに草花が密集しているこの土地。 ユキがあこがれている場所だった。 白い小さな花が、辺りにふるいでふるわれた粉のように均等に生えている。 その花咲き誇る場所の中心に、見たこともない建物らしき…いや、それにしては小さすぎる。 石で出来ていて、下に大きな平たい土台みたいなものが、そして上に細長い石が乗せてある滑稽なものだった。 「読めない…何なのでしょうか、これは」 上に乗っている石に、文字らしきものが刻まれているようだ。 ユキの世界ではごく限られた者のみが"学習すること"を許可されていて、もちろんユキは習ってなどいなかった。 [*back][next#] |