Respect
告白
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俺は今日も3年の先輩たちと溜まり場にしているバーにいた。
城島先輩は少し遅れてくるようだ。
他の先輩とビリヤードをしている最中も頭の中は常に違うことを考えている。
そう、俺の頭の中は城島先輩の事で溢れかえっていた。
城島先輩と…、あの憧れの先輩と俺はついに一つになった。
だが、先輩はあの日から俺の事を避けている気がする。
先輩に抱かれて死ぬほど嬉しかったのだが、今は…気分が落ち込んで仕方が無い。
先輩が俺を避けている理由は何となくわかる。
酒に酔って前後不覚な俺を犯した事に対して気まずさを感じていると思う。
エッチの最中は強気で意地悪だったのに、冷静になると生真面目で優しく、俺の事を気遣ってくれる。
そんな先輩が大好きだけど…、あの時みたいに俺を先輩の物にして欲しい。
でも、俺から先輩に告白するのは中々勇気がいるんだよねぇ。
「はぁ〜」
他の先輩たちに聞こえないほど小さな溜息を吐いたと同時に携帯がなった。
見ればメールで、送り主は城島先輩だった。
『おもてに出ろ』
まるで脅迫状のような短い一文だったが、俺は飛ぶようにBarを出た。
すると城島先輩がバイクに跨っており、俺にメットを投げてきたので、軽く受け取った。
「乗れ」
先輩はバイクの後部座席を見て顎で指示をした。
俺は、メットをして先輩のバイクに跨ると、城島先輩は行き先も告げずに走り出した。
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バイクが止まった場所は高台で、周りには誰もいなかった。
先輩がメットを取ってバイクから俺を降ろしてくれた。
「あんず」
「?」
呼ばれたので先輩のほうを振り向くと…
地上には黒いキャンパスに光を散りばめた様な、美しい夜景が広がっていた。
乙女思考な女じゃないが、俺は先輩とこの綺麗な夜景を一緒に見たことに酷く感動して泣きそうになっていた。
「杏」
「…はい」
隣を見れば、夜風に靡く先輩の銀糸の髪がキラキラとして幻想的だった。
「酒に酔ったお前にでは無く、正真正銘の杏に言いたい」
先輩は俺の正面に移動して両肩に手を置いた。
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