Respect
杏視点≫
杏視点≫
俺は今日も城島先輩の家に泊まりに来ていた。
小野沢先輩から聞いたマンネリ解消の方法を脳内で予習しながら城島先輩と二人で夕飯を食べていた。
普段、エッチをする時は城島先輩からだ。
だが、普段とは違って今回は俺からエロい雰囲気を作り出し、さり気無く誘ってみる事にする。
スキンシップを多めにして、恥ずかしいけど出来るだけエロく振舞う。
もしも、さり気無いエロさの効力が無い場合は、小野沢先輩が言ってた“ガッツリエロ”に挑戦してみる。
ガッツリエロの内容は…、思い出すだけでも恥ずかしい!!
俺は頭を振って、まずはスキンシップから始める事にした。
よしッ!!
小野沢先輩が言ってたエロにゃんこ攻撃を開始する!!
エロにゃんこ攻撃とは、可愛らしく甘えてご主人様にボディタッチをして、徐々にエロい方向へ流れ込む!という作戦らしい。
食事を済ませソファーに座りテレビを見ている城嶋先輩の背後に立った俺はさり気無く先輩の肩に触れた。
「城島先輩、肩をお揉み致します!」
さりげないスキンシップ作戦からだ!
だが、先輩は少しだけ俺に肩を揉ませた後、立ち上がった。
あれ?
「城島…せんぱい?」
「風呂に入ってくる」
城嶋先輩は、そそくさとコノ場を立ち去った。
ショックだ…。
スキンシップってか、素肌にすら触れて無いじゃん。
もう少し俺に御奉仕されても良いんじゃね?
俺の肩揉みが下手糞だったとか??
リビングで俺は一人ショボーンとなっていた。
・・・だが、めげない!
俺は再び城島先輩に愛して貰える様に…絶対に返り咲いてみせる!!
城島先輩が風呂に入っていくのを確認した俺は拳を握って城島先輩に対する愛の炎を燃え上がらせた。
脱衣所へ行くと風呂場では城島先輩がシャワーを浴びている音が聞こえた。
俺はダッシュで衣服を脱ぎ去ると、ゆっくりと風呂場の扉を開けた。
-ガチャ!
「城島先輩、お背中をお流し致します」
「杏ッ!?」
俺が風呂に入ると、城島先輩は全裸の俺の姿を見るなり背中を向けた。
今となっては…俺の裸すらも見てくれないの??
そんなに今の俺には興味や魅力が無いの?
ちょっと泣きそうになったが、俺は風呂桶に石鹸を入れて泡立たせた。
「先輩の…お背中…洗っても良いですか?」
「……好きにしろ」
先輩は俺に背中を向けたまま風呂椅子に座った。
俺は泡立った桶から泡を手に取ると、身体を洗うスポンジでは無くて手の平で先輩の背中を撫でる様に洗った。
少しでも先輩に触れていたい。
もう、先輩不足でどうしようも無い。
俺が触れた瞬間、一瞬だけ先輩の身体がビクッ!と反応したが、城島先輩は無言で俺に背中を洗われていた。
城島先輩の前を洗うように俺は手を伸ばして自分の上半身を城島先輩の背中に密着させた。
「あんずッ!?」
「前も洗います。だから先輩…俺の方を向いてくれませんか?」
「…。前は良い、自分で洗う」
先輩は俺の方を向いてくれず、それどころか俺の手を掴んで払いのけた。
「先輩…?」
城島先輩は急いで御自分の身体と髪をガシガシ!と洗うなりシャワーを浴びて、俺の方を向く事無く風呂場を出て行ってしまった。
以前は腰が砕ける程に愛してくれたのに・・・。
少し前までは幸せで天国にいるみたいだったのに、今は地獄だ。
城島先輩に愛してもらえない今は、地獄よりも苦しい。
俺は一人取り残された風呂場で声を押し殺して泣きながら自分の身体を洗った。
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