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Respect


「…こんな気持ち?」


心臓が痛い。
そんなに嫌な気持ちになる程、杏に嫌われていたなんて…。

俺は苦虫を噛んだ様に顔を顰めた。

しかし杏は俺のシャツを掴んで顔を真正面から覗きこんだ。


「俺以外の誰かが先輩の傍にいるのなんて嫌です!」

「…はっ?」


突拍子もない発言に俺は目を見開いて目前の杏を見た。

「あの綺麗な女性と先輩がホテルから出てきた時、俺…本当は死ぬほど苦しかったです!無理して笑っていたんです」

「…え?」

「先輩、彼女が出来ても俺の事を捨てないで下さい!」

酒のせいで感情がコントロール出来ないのか、情緒不安定といった感じで杏は叫びながら目を潤ませて俺を見た。


「あんず?」

「先輩の迷惑になっている事も知ってます!でも俺、一生先輩の傍にいたいんですッ!!お…俺、先輩の事を思うと胸が苦しいっす!」

ついに杏は泣き出してしまった。
小さな肩を震わせながら杏は言葉を続けた。

「先輩の邪魔になる事は解っているし、男の俺がこんな事を言ったら気持ち悪がられるかもしれませんが、俺…先輩の事が好きなんですッ!先輩後輩の関係ではなく、先輩のことが好きなんです!!」


俺は杏の言葉に耳を疑った。

杏は大粒の涙を流しながら、土石流の様に溜まっていた言葉を俺にぶつけているようだった。


「あんな美女に比べたら俺なんて、微妙だし、そもそも俺…男だし、どんなに頑張っても先輩の特別な存在にはなれない事も解ってます!報われない恋なのに俺、馬鹿だから先輩の事をどんどん好きになる。ずっと傍にいたいと思ってしまうんです!…こんな苦しい恋をするくらいなら、先輩に出会わなければッ「だまれッ!!」

俺は杏の言葉途中に怒鳴り声を上げて、言葉をさえぎった。


もう、無理だ、我慢の限界。


酒の勢いで出た杏の言葉は本心だと悟った俺には、我慢をする理由が無くなった。


俺の怒鳴り声で怯えた杏をそのままベッドに押し倒した。


「せんぱ…い?」


杏の大きな瞳が揺れて俺を見上げていたが、俺は無言で馬乗りになると噛み付くようなキスをした。


杏は驚いたように目を見開いたが、抵抗する事無く唇を開いて目を閉じた。

本当に、俺を受け入れてくれるのか…?


胸が高鳴り、杏に触れているだけで全身が幸福感に満たされるようだった。


唇を吸って杏の歯列を舌でなぞり、そのまま可愛い舌を吸い取り自分の舌を絡めた。


「んっ、…んぅ!」

苦しそうな杏の表情にまで興奮する。

ジュッ!と、わざと卑猥な音をたてて唇を離してやった。


「はぁ…はぁ、せんぱい…?」

「いろよ」

「…え?」

「一生、俺の傍にいろ」

「先輩…」

「俺も一生あんずを離さないから…杏も一生俺の傍にいると誓え」

俺は杏の体を抱きしめた。



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あきゅろす。
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