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自己愛


清々しく天は空色をし、涼やかな風が頬を撫でる優しい昼下がり。

嗚呼・・・なんて爽やかな空気なんだ。

穏やかに降り注ぐ陽の光はまるで僕を照らすスポットライト。

いや、僕だけを照らすスポットライトだ。僕ほど光に愛された存在はこの僕を除いてほかにいないだろう。

何故なら僕は・・・




「貴方ほど美しい方を見た事が有りません!どうか僕と付き合ってください」




・・・そう、僕は美しい
それは美しい花すらも恥らう程に・・・。




そして今は昼休み、僕は若葉達が仄かな風に揺らぐ学校の中庭にる。


また、いつもの様に男子生徒に呼び出され告白をされているのだ。


昼食は皆食堂や教室などの室内で食べる人が多い為か、ココは以外と人通りが少なく告白スポットだ。


いつもの事、今まで告白された回数なんて数え切れない、文字通り星の数ほどだ。
告白の頻度は僕が高校に入学してからさらに酷くなった。

この男子高校という野獣の住処に咲き誇る一輪の花を巡り野蛮な男達は必死なのだ。

しかも、生徒会長を務めていた僕の兄が今年の3月に卒業してからというもの、告白される頻度が倍増した。


そして僕は星の数ほど、その男達を振り払う。

だって・・・僕とこいつらが吊り合うと思う?

片腹痛い!こいつらは、この美しい僕の恋人に本当になれると思っているのか?
夢や妄想は個人の脳内だけにしておくれ。


目の前の男は必死に頭を下げ右手を差し出している。
つまりは、この手を取れって事だろう。

図々しい

僕の白魚のように綺麗な手に触れられると思っているのか?

彼が頭を下げててくれて良かったよ。
間違い無く僕の顔は引きつっている事だろう。

まぁいい、こういう輩には飽きるほどに慣れている。




「ごめんなさい、気持ちは凄く嬉しいけど・・・」


全然嬉しくないけどね、僕って優しいから一応言っとくよ。

目の前の男子の右手がビクッ!と揺れた。

もう、ここまで言えばバカでも解るだろう?俺は普段どおり言葉を続けた。


「僕、女性以外愛せないんだ・・・本当にゴメンなさい」


嘘ではない、僕は正真正銘ノーマルだ!ヘテロだ!ノンケだ!異性愛者だ!

知ってるぞ、こいつらは僕の排泄器官に自分の性器を入れたがっている事も、それを想像してマスターベーションしている事も、この学園にはそういった輩が非常に多い事も全て承知している。

気持ち悪い・・・

だから僕は安全かつ効率よく断る。
目の前の男は泣き出しそうな表情で顔を上げ僕をゆっくりと見上げた。
僕は負けないくらい切ない表情を作る。

「だから、困っているんだ。僕の見た目がこんなだからかな・・・相談する相手もいなく、友達も・・・いない・・んだ・・・。」

僕は泣きそうな表情を必死に作る、あぁ〜これで涙が出てくればパーフェクトなんだけどね。
案の定、男は苦しそうに眉を寄せ困惑しているが僕の事を哀れんでいる様子。

この調子だ!僕は彼の良心を利用し二度と告白が出来ないようにする為止めの一言を告げる。





「友達になってくれないかな?」





男は暫しの逡巡のち頷いた。


この他にも僕が努力をしているというのも有るが、この方法をとってから再び告白してくるバカは今の所いない。


少しだけ会話をして先に男をこの場から立ち去らせた。




ちょろい!





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