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「莉央に想いを告げる者達が増える事は想定内だ。ただ、放っておくとエスカレートする可能性が有る…早めにボディーガードをつける必要があるな」

「ボディーガードぉ!?兄さん…それは少し大袈裟だよ」

「私の大切な莉央に何か有ってからでは遅いだろ?」

「気持ちは嬉しいけど…遠慮願いたい」

僕のイメージでボディーガードというとマッチョで黒スーツの男、そのような者が常に僕に付いて回ると思うと、告白をされる以上にストレスが溜まる。

僕を溺愛している兄の気持ちは凄く嬉しいが、それを実行されるのは嬉しくない。

むしろ迷惑!

丁重にお断りして、僕は兄と共に弓道場を後にしたのだった。


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早朝

軽くシャワーを浴びて身支度をした後、僕は登校した。

天気はあいにくの曇りだったが、今日も僕は美しかった。
きっと僕の美しさに嫉妬して太陽は身を潜めたに違いない…そう、思えるほどに僕は僕自身が惚れ惚れするほどに綺麗なのだ。

「天宮様、おはようございます!今日もお美しいです」

校門を抜ければ会う生徒達に声をかけられる。
だが、僕に声をかけていいのは、学校内、もしくはクラス内において地位が通常よりも上の生徒のみだ。
下っ端の男どもは僕に声をかけることすら許されず、影から見つめることしか出来ない。

ちなみに僕の事を“様”で呼ぶのは一年生の証拠。

風の噂で聞いただけなので詳細はあまり分からないが、どうやらファンクラブでの取り決めらしい。

僕と同じ2年、それ以上の3年からは“様”や“君”、“さん”で呼んでも良いらしい。

本人の知らない所色々とルールがあるようだ。


教室に入ると、ファンクラブの幹部…と言う名の下僕達が僕の机と椅子を磨いていた。

朝から僕は女王様扱い、これが日常。

「皆、こんな事してくれなくても良いんだよ?」
当然の働きだと思いながらも、一応は声をかけてやる。

「俺たち、掃除が好きなんで気にしないで下さい!」

嬉しそうに僕の席を磨く下僕達。


「じゃぁ〜俺の席も磨いてよ」
場違いな発言をする男に磨いていた手を止める下僕と、はぁ?という顔をしてしまった僕。


「掃除が好きなんだろう?コイツの席はもう綺麗じゃん?俺の机を拭いてよ」

出たな近藤一輝ッ!
僕の事を“コイツ”なんて失礼な呼び方をする男は一人しかいない

「や、やあ。おはよう近藤くん」

「はよ」

僕は頑張って笑顔を作りつつ嫌味の無いように近藤に挨拶してやった。

案の定、僕のファンの男どもと口論になるが・・・近藤は笑っていた。まるで気にも留めない。
口論というより、僕のファンが一方的に熱くなっている感じだ。


普段どおりに時は流れ放課後になった。

今朝、机の中を確認したら一枚のラブレターが入っていた。

ちなみに僕に告白やラブレターを出す事が許されているのも、クラスの大半がイケメンと認める者や文武いずれかに優れていたりと、何かと才が有る者のみの特権らしい。

これも風の噂で小耳に挟んだ情報。


待ち合わせの時刻は放課後との事なので仕方なく指定された場所へと向かった。


-第2パソコン室


室内に入るとオレンジ色の西日がカーテンの隙間から少しだけもれている薄暗い教室には誰もいなかった。


…僕を呼び出しておいて、僕よりも遅れてくるなんて言語道断だ!

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あきゅろす。
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