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psychotic
Friday

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夜の7時半〜8時頃になると日課のように携帯が曲を奏でる

あれから俺と淳は毎日テレビ電話をするようになった。

内容はいっつも下らない事ばかりだけど学校ではお互いがあまり話せない分、この時間は俺にとって、かけがえのない大切な時間となっていた。


そして今日は金曜日-

明日の休日は淳と初めて二人で遊びに行く日であり、俺にとっての決戦日でもある。

楽しみと緊張が今から入り交ざってる。


数学教師が一生懸命になってケーリー・ハミルトンの定理について説明しているが、俺の頭の中はそれどころじゃなかった。
ブラックボードに書かれた数式を一応ノートにとりながら、俺は何気なく淳の方を見た。

そしたら淳も俺を見ていたのか、お互いの視線が合う。
最近はよく授業中に淳と目が合うことも多くなっていたから、あまり驚きは無かった。

俺は自宅で自主学習をしているから教師の話を聞かなくても授業の内容は理解出来ているが、多分淳は意味不明すぎて暇なのだろう。

淳の事だからきっと今夜の電話でも「カーリー・バトミントンの定理って何やねん。そんなん知らんくても生きていけるわ!」とか間違ったプラス思考発言をするに違いない。きっとケーリー・ハミルトンって言葉すらちゃんと覚えていないだろう。

・・・テスト前になったら俺が付きっ切りで淳に勉強を教えてやろうかな?


俺が淳にはにかむと淳は顔を少し赤らめて視線を逸らした後、また俺を見て昨夜電話で盛り上がったマイナーなお笑い芸人の顔真似をした。

淳の不意打ちのヘン顔に俺は授業中にも関らず吹きだしてしまった。

当然、その後の俺は教師に叱責をうけた。

今日の電話で嫌味を言って仕返ししてやろうと思った。


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そして放課後になり、いつもの様に龍一が俺の教室に来て、淳はクラスメイトに囲まれる。

淳とは大した挨拶もせずに俺は普段どおり龍一と下校する。


そう・・・普段どおり龍一と下校をするのだが、最近の龍一の様子が変な事に気が付いた。

一人で悩んでいるような、考え込んでいるような感じだ。
俺と目が合うと何故か切なそうな表情を浮かべ何かを言おうと口を開くが、龍一から言葉が発せられることは無い。


そして異変に気付きつつも俺からはその件に関して龍一に追求しない。

龍一が何に対して悩んでいるのか俺には皆目検討もつかないが、今の龍一に対して俺は実際助かっている

何故なら、最近の俺は龍一に抱かれていない。

もちろん龍一は俺に触れようとするが、性行為の雰囲気を感じた俺があからさまに嫌な表情をするからってのもある。

だが以前なら俺が嫌がっても、俺の卑猥な写真をネタに無理にでも強引に性行為に持ち込んでいた龍一だったのに、最近では俺が嫌な態度をあらわにすると怯えた様に手を引くのだ。

今まではありえなかった龍一の行動に戸惑いつつも、正直俺は安堵していた。


今の俺は淳を愛してしまっている。


例え片思いでも、自分の気持に気付いてしまった俺は龍一に抱かれる事に対して、以前以上に嫌悪を抱くようになっていたからだ。

暫く龍一に抱かれていないことにより体中に無数に散らばっていたキスマークの跡も綺麗に消えていた。
龍一の所有印の紅点が薄まるにつれて、俺の戒めが一つずつ外されていくような開放感も味わっていた。




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あきゅろす。
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