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「雅人!帰ろう」
放課後にいつもの様に龍一が俺のクラスに来た。
女子が嬉しそうな顔をして龍一を見つめてキャッキャッと騒いでいる。
毎日毎日見ててよくもまぁ〜飽きないものだ。
俺は鞄に教科書を雑に入れると直ぐに龍一の所に向かったが、途中クラスメイトの一人と右肩がぶつかった。
「あ、すまん」
「わりぃ〜、じゃあな雅人」
「あぁまた明日」
お互いに軽く謝り別れの挨拶で手を上げて合図して、俺は龍一の元へ。
すると龍一はハンカチを出して俺の右肩をポンポンとはたいた。
「後で消毒しなくちゃね」
「・・・・」
俺は龍一のこんな行動に慣れているがここは教室で、この行動を不可解と思った人も居るかもしれない。
俺が気になり辺りを見回すと淳と目が合った。
すると淳はニコッ!といつもの様に笑顔になり手を上げた
「マサー!また明日なぁ〜、気ぃ付けてかえりぃ」
「おう!」
俺も手を上げて背を向けた。
下校中、裏道を通って駅に向かうことにした俺達は人気の無い民家の並ぶ道を歩いていた。
すると急に龍一が手を握ってきた。
「外では止めろよ!誰に見られるか分らないだろ?」
「お願い。少しでも雅人に触れたいんだ・・・誰か来たら離すから今だけ、こうしていさせて?」
俺を愛してるという龍一、少しなら俺の願いも聞いてくれる。
俺が人前では親友として振舞いたいと頼んだら渋々ながらではあったが了承してくれたのだ。
「商店街に出るまでの間だけだぞ?」
「うん、ありがとう」
龍一は心底幸せそうに俺の指に指を絡めた。
「そういやガキの頃は、よく手を繋いでいたな・・・、俺が苛められて泣いていた龍一の手を引っ張って家まで帰ったんだっけ?」
「うん・・・雅人の手がフニフニで気持ち良かったのを鮮明に覚えているよ」
「フニフニは龍一の手だバカ」
「どうだったかな?でも雅人の手は今でもとぉ〜ても可愛い」
龍一は微笑んで俺の手をギュウ〜と握り締めた。
やがて商店街にさしかかり俺から手を離した。
電車に揺られる事数十分、龍一の実家があり俺の家がある駅に着き扉が開くが、龍一に腕を掴まれて下車することが出来なかった。
「龍一?」
「今日、雅人は俺の家にお泊りだよ?」
現在、一人暮らしをしている龍一の家はココから3駅目の所。
「な・・・」
「消毒するって言ったでしょう?」
「バカじゃないのか?俺は次の駅で降りるからな?」
「・・・・・雅人?」
龍一は自分の携帯を取り出すと、携帯を開きメインディスプレイを俺に見せた。
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