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3

「淳・・・何で付いて来る?」

「暇やし俺も保健室で寝るぅ〜」

「そっか、じゃあココでお別れだ!俺は屋上で風にあたってくる」
階段の所で淳に手を振り、階段を上る。
淳はそんな俺を黙って見ていた。



−キィーー


少し錆びたドアを開けると一面に青空が広がった。
先程も来た場所だが龍一が居ないだけで世界が色鮮やかに見えて、風も心地良く感じる事が出来る。

出入り口の有る小さな建物の裏側に回り、壁を背にして座ると空を見上げた。




真理子ちゃん・・・



『お前ら最低だな』


先程自分が発した言葉が脳裏を過ぎる

「最低は俺だ・・・」

真理子ちゃんを変えてしまったは俺だ・・俺が真理子ちゃんと付き合ったばかりに龍一の反感を買ってしまい・・・あんな・・・・・・ヒドイ事をされてしまった。




「・・・ぅ・・・・ッ・・・」




肩が震えて空が歪んで見えた。
俺が泣くなんて卑怯だよな・・真理子ちゃんは人生を狂わされたんだから、俺が泣いちゃダメだ。

分っているのに胸が締め付けられて、後ろめたさと罪悪感を目から出る液体で全て無かった事のように流してしまいたい気持になる。




”龍一は狂っている”




だから俺が回りに気を配り、注意をして行動しなくてはならない。

あの時は龍一が狂ってるなんて解らなかった・・・なんて言い訳したら楽になれるだろうね・・・俺だけは。


涙が止まらない


俺の感情はドロドロなのに、こんな時でも空は青く澄んでいて白い雲が綺麗だった。

俺がそんな大きな空を眺めていると

「マサー!」

横から声がして振り向くと淳が立っていた。
淳は俺の顔を見るなり驚いた顔をしたが何も言わず隣に座った。

お互い話す事はしないが、誰もいない屋上には俺の啜り無く声だけが聞こえていた。
敦はそんな俺の背中をそっと優しく摩ってくれて、その行為に俺はまた激しく泣き出してしまった。

「・・・ぅぐ・・・俺に・・優しくするな」

「してへん。背中さすってるだけや」

淳はニカッ!と笑顔を向けた。
濁りの無い綺麗な笑顔・・・悲観的な思考回路に陥った今の俺はそれすらも悲しくなってしまう。

駄目だ綺麗な淳が汚れた俺に触れたら駄目だ。

淳が汚れてしまう

そう思い俺が淳の腕を振り払うと、淳は顔から笑顔が消え逆に表情を歪めた


「俺に触られるの・・・そんなにイヤか?」

「・・・ッ・・俺・・汚いから・・・グスッ!」

「あぁ、涙鼻水で顔グチャグチャやから?俺そんなん気にしないって」

「・・違・・そうかもしれないけど、そうじゃない」

「意味分らん!どっちやねん!!」

淳が笑うから、釣られて俺も笑ってしまっていて、気付いたら涙もおさまっていた。

しばらくしたら呼吸も落ち着いてきて俺は、ぼんやりと空を見上げた。


「なぁ、何か悩み事なら俺相談にのるで?」

「大丈夫」
相談か・・・誰かに相談出来ればどれだけ楽になれるだろうか・・・でもこれは誰にも言えない、言える訳が無い。


親友に愛されすぎて困っています。
その親友が精神異常者なんです。
小池さんの精神崩壊に俺らが関与しています。
俺は男にレイプされ写真を撮られて今まで、そいつと数え切れないくらいSEXしてます。
困っています、どうしたらいいですか?・・・って?


無理だ。
俺が逆の立場だったらヘビー過ぎて聞いた事に対して後悔するだろう。


「マサー、凄い百面相やで?ま、ええわ!無理には聞かんから話したくなったら話しぃ。」

「ごめん」

「あやまんなや!それより今日暇ある?」

「放課後は龍一と帰る約束が有る」

「じゃあ明日」

「明日も龍一」

「あさって」

「龍一」



「ダーーーーッ!!いつならエエねんッ!!?」

「・・・・たぶん無理だ」

「昔から思っとったけど、あの龍一って男なんなん?マサーにベタベタベタベタ・・・金魚のフンか?」

あ・・・珍しい。
いつもなら見劣りのする俺の方が龍一に縋っているように思われるのに・・・淳は違った。

「し・・・親友かな・・」

「ふぅーん、けどマサーあいつと居る時、死んだ魚の目ぇ〜しとるで?」

「・・・・俺はいつでもやる気ない顔してるよ。」


俺が言うと淳は俺の肩をバンバン叩きながら大笑いをした。じゃっかん痛いのですが、俺はあえてつっこまなかった。







この日以来俺と淳はよく話すようになった。


休み時間やお昼、放課後はずっと龍一と一緒だから、教室や授業中などの少しの時間だけだが、俺は淳との交流が心のより所となりつつあった。




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