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☆★STAR★☆
run!

無我夢中で走っていると体育館玄関の所で…


「おい真輝!どこいくつもりなんだ?それよりも何でまだ制服?体育着はどうした?」


体育教師に呼び止められた。

既に授業は始まっていて、他の生徒はドッチボールに夢中になっていた。

高校生がドッチボール!?と、思うかもしれないが意外にレベルが高くて白熱した試合に皆真剣なのだ。

皆が真面目に青春の汗を流している中、走って体育館を抜けようとした俺を発見した先生は少しお怒り気味…。


「あ、あの…お腹が痛いので保健室に行って来ます」

「お腹痛い奴が元気良く全力疾走するか普通?」


ギクッ!


た…確かに。

俺さっきまで超走っていたもんな…腹痛は嘘だとバレバレですよねー。

俺が困っていたら…


「先生ー危ないッ!!」

クラスメイトの声と同時に背後を振り向いた先生の顔面に猛スピードのボールがぶつかり、かなり痛かったのか先生はその場に顔を押さえたまま、しゃがみこんだ。


ボールを取りにきたクラスメイトの会田が、蹲って顔を押さえ続ける先生の背中を擦りながら謝罪の言葉を連呼しつつ視線は俺を見ていた。

会田はもう片方の手で体育館の出口を指差すと声には出さずに口をパクパクと動かし『に・げ・ろ』と言ってくれた。

その後すぐに俺に向って指を差し出し1・2と合図した。

金の亡者と名高い会田のこのサインは後で1200円徴収するという意味。

逃げるのを助ける変わりに報酬を請求する訳だ。


俺は会田と視線を合わせると頷き、その場から逃走した。


商売人め!

まぁ、俺も明日支払いの時に200円ぶん値切る気だ。

それでも貧乏な俺にとって千円はかなり痛い、もっと値切れる所まで交渉してみよう……そんな下らない事を考えながら体育館を背にして走っていた。







…で、何故か誰もいない教室に戻ってきて自分の席に座っている俺。

走って逃げて何故教室?

人間ってパニックになったり混乱すると自分でも予測不可能な行動をするんだなぁ〜…と妙に冷静になった頭で考えていた。


冷静になって違和感に気付いたけど、俺……今ノーパン。

いや、まぁ、走ってる時に普段と違ってプラプラする感じはしていましたけど…。


下着を付けて無い事を自覚すると何だか落ち着かない、このまま授業を受け続ける気にもなれないから帰宅する事にした。

教科書や重い本などはテスト期間が近くない限り、基本的にロッカーや引き出しに置くタイプの俺。

その日の宿題や課題などのプリントや書類とか、必要最低限のモノしか入っていない軽い通学カバンを持って静かな教室を後にした。






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