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☆★STAR★☆
まするッ!!

「おい、お前ら正気か?…俺は真輝歩夢だぞ!?自分で言うのも何だが決して顔が整ってるって訳でも、成績がいい訳でも無い、芋の様な凡人な俺に何をしてるんだ?しかも男!おかしいだろ!?…狙うならもっと美少年とか、そういうのにしろよ!」

自分の社会的地位と言いましょうか、人間として大した魅力も取り得も無い残念な真実を己の口から言うのは毎度の事ながら虚しいぜ。

だが、友人の思考回路をノーマルに戻すために普段の地味で普通すぎる非モテな俺を思い出させようと声を振り絞って叫んだ。

その効果が有ったのか3人は、怪しい手つきを止め俺の体から視線を逸らし顔を見てくれた。

そして何故か俺の言葉に対してキョトン…と間が抜けた顔をした阿部が溜息を一つ。

「歩夢ってさぁ、マジで自分では気付いてないんだな」

「…?」

「俺は今日まで、そんなに興味無かったけど…歩夢って結構人気有るんだぜ?」

「人気?・・・俺が?」

「そう、お前。真輝歩夢は普通の男子学生にしか見えないけど実は結構裏では人気だぜ?……特に男から」

「男ッ!!!?ぜっ、全然嬉しくないッ!!!ってか、この学校において俺に人気があるとは到底考えられない」

「やっぱり気付いて無いんだ。歩夢って頭弱そうだし鈍感だから自分の事が解らないんだね、哀れ哀れ。」


阿部がまた溜息をつき、哀れむ目で俺を見た。

・・・ってか、何気に、いや、思いっきり失礼な発言しませんでしたか?
出来る事なら殴っても良いですか?

ムカつく阿部の次に今度は小峰が口を開いた。

「真輝に自覚が無いのは当然だろう。今まで一度も告白に辿り着けた者はいないんじゃないか?真輝に対して邪な感情が有りそうな男子が近づこうとしても佐川慶斗がいつも邪魔をするって聞いた」

俺に告白?邪魔をするって・・・

「慶斗が?」

俺は淡々と話す小峰を見た。


「そう、佐川慶斗だよ。佐川がいつも真輝に近寄る害虫を排除してるんだとよ。俺も阿部と一緒でつい最近まで真輝に対して変な感情は無かったし同性愛とか考えた事も無いから、真輝を狙っている連中の詳細は知らないけど、以前、真輝に告白しようとした後輩から直接聞いたから、多分本当の話」

小峰が言い終わると、小野沢が身を乗り出してきた。

「それ、俺も聞いた事がある!!友人として近づく男子はOKだけど、歩夢の事を特別視している奴は何故か慶斗にバレて歩夢に近寄れないんだよな?」

「そうそう、佐川は真輝好き男子を察知するレーダーが有るってやつだろ?」

「レーダ−はどうだか解らないけど、歩夢が好きでも佐川慶斗が怖くて近寄れないんだよね?…成績優秀スポーツ万能に加えイケメンで女子にはモテモテで、その他の男子からも人気が高いハイレベルな人物である慶斗を敵に回したくないんだと思う」

「確かに佐川を敵に回すのは怖い気がする。普段は明るくて良い奴だけど怒ると怖そうだよな」

「絶対に怖いだろ。ってか、歩夢は佐川慶斗の事を親友だと思っていそうだけど…、慶斗の方は歩夢の事を好きだと思うのは俺だけ?」

「いや小野沢だけじゃない、俺もそう思う。俺も同じ気持ちになってようやく気付いたけど佐川は確実に真輝の事が好きだぜ!好きどころか恐ろしい程の愛を感じる」

「小峰もそう思う!?意識しなければ仲の良い親友どうしで、面倒見の良い友人に見えるけど、今思えば確実に慶斗は歩夢の事を愛してるよな!?」

小峰と小野沢が慶斗の話で盛り上がっていると、阿部が俺に話しかけてきた。


「なぁ、歩夢。もしかして慶斗と付き合っていたりする?」

「んなっ!!つッ、つつつ付き合っていないで御座いまするッ!!!」

急な質問に焦った俺は変な日本語を使ってしまったが、首を左右に振って否定した。

「じゃあ、他に誰かと付き合ってる?」

「い…いない」



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