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☆★STAR★☆
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そんな俺を見て浜田君は無言で俺の背後に回りこむ。

「変な事聞いてスミマセン!俺、歩夢先輩の性格理解してるつもりなんで聞いても答えないの何となく予想出来ました。…男に痴漢されたって誰にも知られたく無い気持ちわかります。けど、俺ッ、歩夢先輩に痴漢したヤツが許せないんです。どいつか教えてくれませんか?」

浜田君の真剣な声色が後ろから俺の耳に囁かれた。

だから俺も勇気を振り絞って後ろを振り向き乗車客の顔を一人一人見回した・・しかし


「…い…いない…」

あたりを見回したがあの男が見当たらないのだ。

俺が必死になって視線を動かしていると正面から浜田君が俺に抱きついてきた。

「はまだくん?!」

「逃げられたの…めっちゃ悔しいです!見つけたら俺がボコボコにしてやります。…歩夢先輩、急に抱きついてスミマセン、暫くこのままでいさせて下さい。こうして俺が歩夢先輩を抱きしめて盾になっていたら痴漢から歩夢先輩を護れるでしょう?」

「もう痴漢はいないから平気だよ」

俺は浜田君の胸に掌を当てて押しのけようとしたが逆に、さらに強く浜田君は俺を抱き寄せるように身体を密着させてきた。

「ダメだよ、浜田君・・・離れて・・」

頼りない先輩を守ってくれる浜田君の優しさは凄く嬉しい!だけど今、正面からそんなに密着されたらヤバイッ!

・・・だって俺・・まだ少しだけ起ってるもん!
勃起してる事が浜田君にバレちゃったらどうしようッ!!

痴漢されていた事がしられただけでも恥ずかしいのに、痴漢のスーパーテクニック?に反応してしまった事実はさらに倍を行く恥ずかしさでして当然ながら知られたく無い。

俺は股間が浜田君に当たらないように、さり気なく腰を引いて両腕で浜田君の胸板を押し返した。

「俺と密着するの…そんなに嫌なんですか?」

ひどく切ない表情をする浜田君。

「浜田君に抱き込まれるのが嫌な訳じゃなくて…その、何て言いますか・・・とにかくゴメン!」

再び浜田君の身体を押しのけようと両手を突っ撥ねるが・・しかし・・・浜田君は俺の両手首を掴む。

「俺の事が嫌って訳じゃないんですよね?」
真剣な顔で聞かれた。

「う・・・うん。」
とりあえず頷くと浜田君の眉間の皺が消えた。


「また別の痴漢が来たらどうするんですか?ただでさえ歩夢先輩可愛いのに今の歩夢先輩何だかエロい顔してるから心配です!」

「えっエロい顔ぉっ!?何じゃそりゃ?」

「…気付いてないんですか?瞳も潤んで少しだけ睫毛濡れてるし、頬も仄かに紅色で、唇も濡れてて艶かしいです。今の歩夢先輩、見てるだけで男がドキドキするくらい美味しそうなんですよ?あの痴漢以外でも歩夢先輩にイタズラしたい気持ちになる男が他にも沢山いるはずです!…いいから大人しく俺の腕の中にいて下さい!」

「ぅわっ!」

浜田君に腕と腰をグイッ!と、なかば強引に引かれて抱きしめられた。


もちろん、知られたく無いはずの俺の股間も浜田君の脚に当たっちゃった訳で・・・

俺は羞恥に泣きそうになりながらも浜田君の顔を見上げた。

浜田君も俺を見下ろしていた。


「歩夢せんぱい・・・」

浜田君は足でグリグリと俺の股間の状況を確かめる動きをした。

「なっ!何するんだよ!?」

「歩夢先輩…起ってますよね?」

「・・・・」

俺は無言で顔をそむけた。


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