☆★STAR★☆
登校
ヴォオオオオン
景色が横に流れていって風が気持いい
スピード感とモーター音が俺の胸を高鳴らせる
男子たるものバイクに興味があるのは当然だよね。
「杉田君いいなぁ。俺も免許とろうかな」
信号待ちで俺が前の杉田君に言うと、彼は顔を横に向けた
「歩夢ちゃんがバイク?・・俺の後ろにならいくらでも乗せてあげるよ?」
「杉田君みたいにカッコ良く自分でバイクを運転したいなぁ〜って思ったんだ」
女子にもモテそうだから・・・なんて不純な動機も少しあるけどね。馬鹿にされそうだからソレは黙っておく
信号が青に変わり再びバイクが走り出した。
あぁ、最高!
もう少しで学校だ。普段の三分の一の時間もかかっていないんじゃない?
自宅を出たときは確実に遅刻だと思ってたのに余裕で到着しちゃったよ〜・・・なんて思っていたけど・・あれ?確かウチの学校ってバイク登校禁止じゃなかった?
あれあれヤバイよ!このコースは堂々と正門前から突入ルートじゃないかい?
学校の校門前では生徒指導の強面の教師が竹刀を持っていつも通り登校する生徒の制服や頭髪に対してイチャモンをつけている様子が見えた。
って、度派手にバイクで登校しちゃったら制服どころのレベルじゃないよ!
まさかこのまま正門突破なんて事しないよね、咄嗟に進路を変える気なのか?
と思った俺が馬鹿だった。
杉田君は堂々と生徒指導が立つ正門から入っていった。
ブロオオオオンンッ!!
「ゴラーッ!杉田ッ!!お前またバイクで登校してッ!なめてんのかーーーッ!!!」
「ひぃっ!」
俺は思わず声がもれた
普段から怖い顔の教師が鬼のような形相で竹刀を振り回しながら追いかけてきた
キキィーッ!
そして杉田君は門を少し超えた所でブレーキをかけた。
「遅刻せずに登校したと思ったらまたバイクなんぞで来て何のつもりだ!!」
ここまで走ってきた教師は息をあげながらも怒鳴る
「そんなに怒ってウケル!おっさんハゲてるから茹蛸みたいだねぇ〜」
あろうことか杉田君は生徒指導の先生をオッサン呼ばわりして本人の目の前で先生のツルツルの頭を指差してゲラゲラと笑った。
何で火に油を注ぐような発言してんだよ!?
まぁ・・・確かにタコっぽいけどさ・・。
後部座席に乗った俺はオロオロと杉田君と教師を交互に見た。
「ん?」
ギクッ!
先生が俺の存在に気付いたようだ。
「何年何組の生徒だ?見た感じ普通っぽいが・・杉田と一緒にいるって事はお前も不良だな」
「いぇ・・あの・・俺は不良ではないです・・すみません」
「アハハハ!歩夢ちゃん何で謝ってるの?オクトパスなんか放っておいて行こうか。ちゃんと掴まっててね」
「コラッ!杉田ーーッ」
怒鳴る教師を完全スルーで杉田君はグリップをひねった。
完全に慣れている。
慣れているというか、教師を馬鹿にして遊んでいる?
・・・酷い生徒だと思います。
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